FC2ブログ

金子みすゞ私的鑑賞 31. 石と種

金子みすゞ
07 /24 2019
31. 石と種



石ころは
街道(かいど)の土にうもれてた。

菜の種は
畠の土にうもれてた。

街道に
畠に
雨がふり、
街道に
畠に
日が照つた。

畠の土から、芽が出たら、
お百姓さんがよろこんだ。
街道に石がのぞいたら、
乞食の子供がつまづいた。


『金子みすゞ全集』Ⅱ 空のかあさま p204


4連14行(2行 2行  6行  4行)

5 12。  5  12。   4  4  5、 4  4  5。   13、 12。 12、 13。


土にうもれた石が子供をつまづかせるという情景は前回の「石ころ」と似ています。

違うのは、「菜の種」という対照物が登場していることです。

花が咲いて人の目を楽しませ、菜種油も取れて人に役立つ「菜の種」と、子供をつまづかせるだけの役に立たない「石ころ」。

役に立つものと役に立たないものの対比は、みすゞさんの詩にはよく見られます。

その例としては「土」、「芝草」などが思い出されます。




こツつんこツつん
打たれる土は
よい畠になつて
よい麥生むよ。

朝から晩まで
踏まれる土は
よい路になつて
車を通すよ。

打たれぬ士は
踏まれぬ土は
要らない土か。

いえいえそれは
名のない草の
お宿をするよ。


芝草

名は芝草というけれど、
その名をよんだことはない。

... それはほんとにつまらない、
みじかいくせにそこら中、
みちの上まではみ出して、
力いっぱいりきんでも、
とても抜けないつよい草。

れんげは紅い花が咲く、
すみれは葉までやさしいよ。
かんざし草はかんざしに、
京びななんかは笛になる。

けれどももしか原っぱが、
そんな草たちばかしなら、
あそびつかれたわたし等は、
どこえ腰かけ、どこえ寝よう。

青い、丈夫な、やわらかな、
たのしいねどこよ、芝草よ。

                  
しかし、「土」でも「芝草」でも、役に立たないものとして登場した「打たれぬ」「踏まれぬ」「土」、「芝草」も、実は「名もない草のお宿」をしたり、「わたし等」が「腰かけ」たり「寝」たりするのに役に立ちます。

「石ころ」は結局何の役にも立ちません。

それでも「石ころ」はこの詩の主役です。

役に立たないものは人間にとって役に立たないだけです。

人間に見向きもされないものがいとおしく思われる、そんなみすゞさんの感覚が私たちの不意を突きます。



名詞:  石ころ(石)(2回)  街道(4回)  土(3回)  菜の種  畠(4回)  雨  日  芽  お百姓さん  乞食  子供

形容詞: 0

動詞: うもれる(2回)  ふる  照る  出る  よろこぶ  のぞく  つまづく  



通算登場回数  
今回登場        石ころ(石):2作目
今回登場なし    (お)空:8作目 赤(赤い):7作目    母さん(お母さま、かあさん、かあさま):7作目 青(青い):6作目 白(白い):5作目    雲:5作目    花:4作目  海:3作目 波:2作目 (お)星:2作目 (お)父さま:2作目   (お)舟・船:2作目 雪:1作目   


参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年


本日もご訪問いただきありがとうございました。



備忘録・雑記ランキング
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

Radiology2003

本日もご訪問いただきありがとうございます。
日々の生活の中で感じたこと・調べたことを備忘録として残しています。