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金子みすゞ私的鑑賞 28. いい眼

金子みすゞ
06 /29 2019
28. いい眼


山のむかうの鳩の眼を、
ねらつて鐵砲が射てるよな、
いい眼が私にあつたなら、

町のかあさんのそばにゐて、
田舎の、林の、木の枝の、
小鳥の巢かけもみな見える。

沖の、小島の、片かげの、
岩の鮑もみなみえる。

空の、夕燒の、雲のうへ、
天使のすがたもよくみえる。

そんないい眼があつたなら、
いつも、母さんのそばにゐて、
いろんなことをみようもの。



『金子みすゞ全集』Ⅱ空のかあさま p258


5連13行(3行 3行 2行 2行 3行)

12、13、13、 13、13、13。 12、12。 12、13。 12、13、12。



「山のむかう」の鳩、「町」にいて「田舎」の「林」の中、「沖」の岩かげの「鮑」、果ては「雲のうへ」の「天使」まで見える「いい眼」があったら楽しいことでしょう。

しかし、「あったなら」の話で、常識的に考えてもないことは明確です。

この詩では、「いい眼」があったらいいなということよりも、「母さんのそばにゐ」ることが重要なのでしょう。

そして、それは「いい眼」があることとは違って、一般的には可能なこと、というよりも普通のことです。

が、みすゞさんの置かれた状況では、難しいことでした。(11.悪太郎の唄 http://selfdevelopment578.blog.fc2.com/blog-entry-653.html)

それは「みようもの」という表現に表されています。

この詩の中の「あつたなら」は「母さんのそば」を主語としていると、個人的には思えてしまいます。


「鳩の眼」を「ねらって鐵砲を」撃つという情景は少し残酷で気になります。「柿の実」を撃つぐらいでもよかったのでは、とも思いますが、もっと小さいものでも狙える「いい眼」にしたかったのでしょうか。


第1連が読点で終わっています。



名詞: 山 むかう 鳩 眼(3回) 鐵砲 私 町 かあさん(母さん)(2回) そば(2回) 田舎 林 木 枝 小鳥 巢かけ みな(2回) 沖 小島 片かげ 岩 鮑 空 夕燒 雲 うへ 天使 すがた こと

形容詞: いい(2回)

動詞: ねらう 射つ ある(2回) ゐる(2回) 見える(みえる)(3回) みる



通算登場回数  
今回登場       (お)空:8作目   母さん(お母さま、かあさん、かあさま):6作目 雲:5作目
今回登場なし    青(青い):6作目 赤(赤い):5作目   白(白い):5作目    花:4作目  海:3作目  波:2作目 (お)星:2作目 (お)父さま:2作目   (お)舟・船:2作目 雪:1回目



参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年


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