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金子みすゞ私的鑑賞 11.悪太郎の唄

金子みすゞ
02 /15 2019
悪太郎の唄


泣き泣き
にげた
よわむし
毛蟲。

おいら
しらない、
いつつけろよ
うちで。

あの子の
母(かか)さん
かはりに
怒る。

おいら
母さん
まま母さん。


『金子みすゞ全集』I 美しい町 p175


4連15行(4行、4行、 4行、 3行)  
4 3 4 3。 3  4、5、3。 4 4 4 3。 3 3 4。


子どもの喧嘩のようです。

いじめっこ(悪太郎)にいじめられたいじめられっこが、これから家に帰り母親に告げて母親が怒るだろうという、子どもの喧嘩にはよくあることです。

しかし、この詩の主題は、子供の喧嘩ではなく、「まま母さん」にあると思われます。

継母・継子はみすゞさんの詩に時々出てきます。

みすゞさん自身は継母・継子の関係を経験したことは無いようですが、仲の良い弟正祐が小さい頃、子供のいなかった叔母夫婦の養子になったことは、大いに影響していると容易に考えられます。

そもそも母親というものに対する一般的なイメージは、優しく子どもや家族を包み込んでくれる存在であり、文学作品で取り上げられる主題としても、母の子供への愛情・子供が母親を慕う心などが専らと思われますが、みすゞさんの詩に出てくる母親像は苅田郁子さん(「金子みすゞ、母への憧憬」『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊)の表現を借りれば「かなり複雑」で、「母親は不在であったり」、「忙しい母親や厳しい母親がほとんど」となります。

実際、みすゞさんの詩において、母親の愛情に溢れた行動や言葉も、母親への慕情の表現もほとんど見られません。

それに対する説得力のある理由を示した研究結果は知りませんが、みすゞさんが女学生の時、亡くなった母の妹の夫だった男性(正祐の養父)と再婚し、みすゞさんと別れて暮らした(後に一緒に住むことになる)ことも要因の一つと考えられているようです。




名詞:よわむし、 毛蟲、 おいら(2回)、 うち、 子、 母さん(「まま母さん」も含め3回)

形容詞:なし

動詞:泣く(2回)、 にげる、 しる、 いつつける、 怒る



通算登場回数  
今回登場     母さん:1作目
今回登場なし   (お)空:5作目  青(青い):4作目  白(白い):4作目  赤(赤い):3作目  海:2作目  雲:2作目  (お)舟・船:2作目  波:1作目  花:1作目  父さま:1作目    



参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年


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