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金子みすゞ 私的鑑賞(五十音順) 3 赤い靴

金子みすゞ
11 /27 2018
赤い靴

空はきのふもけふも青い、
路はきのふもけふも白い。
 
溝のふちにも花が咲いた、
小(ち)さいはこべの花が咲いた。
 
坊やもべべがかろくなつて、
一足、二足、あるき出した。
 
一足踏んでは得意さうに、
笑ふ、笑ふ、聲を立てて。
 
買つたばかしの赤い靴で、
坊や、あんよ、春が來たよ。



『金子みすゞ全集』Ⅲさみしい王女 p256


5連10行(2行、2行、2行、2行、2行)  13、13。  13、13。  13、14。  14、12。  13、12。


名詞:空、きのふ(2回)、けふ(2回)、路、溝、ふち、花、坊や(2回)、べべ、一足、二足、得意、聲、ばかし、靴、あんよ、春

形容詞:青い、白い、かるい、赤い

動詞:咲く、なる、あるき出す、踏む、笑ふ(2回)、立てる、買う、来る」


「青い」空、「白い」路、「赤い」靴、とみすゞさんの詩おなじみの色が3つ出てきます。

それに加えて花のにおい、子供の笑い声と、視覚・嗅覚・聴覚の五感を使って春の訪れを歌っています。

空・路の静、子供の動きの動の対比、その間でかすかに揺れるはこべも目に浮かびます。


「赤い靴」と聞けば、野口雨情の童謡がまず思い出されます。

野口雨情の「赤い靴」が発表されたのが1922年(大正11年)。

みすゞさんが詩を投稿し始めたのが1923年(大正12年9月)。

しかも、野口雨情が選者をつとめる童謡雑誌『金の星』にもみすゞさんは投稿し、「八百屋のお鳩」が掲載されています。

そういった経緯をみると、みすゞさんがいつこの詩を作ったかはわかりませんが、野口雨情の「赤い靴」をすでに読んでいた可能性はあります。

しかし、内容は全く別物であり、内容からすれば、どちらかというと野口雨情と同時代の相馬御風がかいた「春よ来い」(1923年(大正12年)3月発表)に近いものがあります。


個人的には、そういった詮索は研究者に任せて、純粋にみすゞさんの「赤い靴」を味わうのがよいかと思います。


参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年


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