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金子みすゞ 私的鑑賞(五十音順) 1 青い空

金子みすゞ
10 /14 2018
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青い空

なんにもない空
青い空、
波のない日の
海のやう。

あのまん中へ
とび込んで、
ずんずん泳いで
ゆきたいな。

ひとすぢ立てる
白い泡、
そのまま雲に
なるだらう。


『金子みすゞ全集』I 美しい町 p229


3連12行(4行×3連)  8 5、7 5。 7 5、8 5。 7 5、7 5。


名詞:空(2回)、波、日、海、まん中、ひとすぢ、泡、雲

形容詞:青い、白い

動詞:とび込む、泳ぐ、立つ、なる、ゆく



全集に収められた512編の金子みすゞさんの詩の中には、比較的よく出てくる言葉がいくつかあります。

そのうち4つがこの詩で登場します。

「空」、「海」、「青(い)」、「白(い)」です。

「空」は125編、「海」は79編、「青(い)」は80編、「白(い)」は79編に出てきます。

「空」と「海」という語がどちらも出てくるものは27編あります。

「空」、「海」、「青(い)」、「白(い)」の4つがすべて使われているのは、本作品の他には「海とかもめ」(全集Ⅰp231)、「貝と月」(全集Ⅲp117)があります。

詩作をする金子みすゞさんの視界そして心の中には、いつも、青い空と海、白い雲と波、があったのだろうと思われます。

尚、空を海に喩え、雲を泡(波)に喩えている例は「月のお舟」(全集Ⅰp112)にも見られます。

上記4語ほどではありませんが、「雲」も散見されます。


参考

海とかもめ

海は青いとおもつてた、
かもめは白いと思つてた。

だのに、今見る、この海も、
かもめの翅も、ねずみ色。

みな知つてるとおもつてた、
だけどもそれはうそでした。

空は青いと知つてます、
雪は白いと知つてます。

みんな見てます、知つてます、
けれどもそれもうそか知ら。



貝と月

紺屋のかめに
つかつて、
白い絲は紺になる。

青い海に
つかつて、
白い貝はなぜ白い。

夕やけ空に
そまつて
白い雲は赤くなる。

紺の夜ぞらに
うかんで、
白い月はなぜ白い。



月のお舟

空いつぱいのうろこ雲
お空の海は大波で。

佐渡から戻る千松の
銀のお舟がみえがくれ。

黄金の櫓さへ流されて
いつ、ふるさとへ着かうやら。

みえて、かくれて、荒波の
果から果へ、舟はゆく。



参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年
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