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金子みすゞ私的鑑賞  133.かりうど

金子みすゞ
05 /27 2023
かりうど

ぼくは小さなかりうどだ、
ぼくは鐡砲(てつぽ)の名人だ。

鐡砲は小さな杉鐡砲、
彈丸(たま)は枝ごと堤(さ)げてゐる。

みどりの鐡砲、肩にかけ、
山みち、小みちをすたこらさ。

ぼくはやさしいかりうどだ、
ほかのかりうど行くさきに、

すばやくぬけて、鳥たちに、
みどりの彈丸を射(う)つてやる。

みどりの彈丸は痛かない、
鳥はびつくり、飛ぶばかり。

鳥はそのときや、怒るだろ、
でも、でも、ぼくはうれしいよ。

ぼくはちひさなかりうどだ、
ぼくは鐡砲の名人だ。

みどりの鐡砲、肩にかけ、
山みち、小みちをすたこらさ。



『金子みすゞ全集』 Ⅱ 空のかあさま pp43〜44


9連18行
12、12。 12、12。 12、13。 12、12、 12、12。 12、12。 12、12。 12、12。 12、13。


初めて読んだ時は、あまりピンとこない詩でした。

「杉鐵砲」がどんなものか知らなかったからです。

「杉鉄砲」とは「細い竹筒に杉の芽を詰めて、棒で突いて飛ばす玩具(『精選版 日本国語大辞典』)」だそうです。

ちなみにWikipediaでは「杉の芽」ではなく「杉の雄花」を使うそうです(『大辞林』では「杉の実」とあり、これも誤りとあります)。

紙鉄砲の杉の芽(雄花・実)?版のようです。

そうとわかれば、スッキリと腑に落ちる詩になります。

本物の狩人に撃たれる前に鳥を飛び立たせて避難させる「ぼく」の姿が目に浮かびます。

鳥たちは「ぼく」に対して怒るでしょうが、たとえそうであっても鳥を守りたいという気持ちが先にくることが重要です。

本物の狩人にしてみればいい迷惑ではあるのですが……


名詞:   ぼく(6回)、 かりうど(3回)、 鐵砲(杉鐵砲)(6回)、 名人(2回)、  彈丸(3回)、 枝、 みどり(3回)、 肩(2回)、 山みち(2回)、 小みち(2回)、 ほか、 さき、 鳥(たち)(3回)、 とき、 

形容詞:  やさしい、 痛い、 うれしい

動詞: 提げる、 かける、 行く、 ぬける、 射つ、 飛ぶ、 怒る 



通算登場回数  
今回登場    
みどり(こみどり):5作目   
   
今回登場なし  
(お)空(夕ぞら、青空、夜ぞら、夕やけ空):34作目
(お)海(外海内海、大海):27作目   
青(青い、青む):20作目    
母さん(お母さま、母さま、かあさん、かあさま):19作目    
赤(赤い、あかい):19作目   
白(白い、しろい、眞白な):16作目    
(お)舟・小舟・船・帆かけ舟:15作目
(お)花:13作目  
雲(雲間):12作目   
お月さん(お月さま、月、月夜):11作目
黒(黒い、くろい):9作目    
(お)星(さま):8作目    
雪(雪の日):8作目   
波:7作目    
(お)魚(さかな):6作目(タイトルのみ1作)    
(お)父さま(父さん):4作目    
お祖母さま:4作目
石ころ(石):3作目
紅い:2作目
紺:2作目   
紫(むらさき):2作目  
さくら(山ざくら):2作目    
藍いろ:1作目   
金:1作目   


参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年



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コメント

非公開コメント

No title

子供の頃、杉鉄砲を作り、パンパン鳴らしていました。
懐かしいですね。

Radiology2003

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