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金子みすゞ私的鑑賞  129. 紙鐵砲

金子みすゞ
03 /20 2023
紙鐵砲  

紙鐵砲、
ポン、ポン、ポン。

きのふまでなかつたに、
一にちで流行つたよ。

みんなが篠竹切つてくる、
みんなが紙玉こしらへる。

紙鐵砲、
ポン、ポン、ポン。

きのふまで暑かつたに、
一にちで秋が來た。

みんなが篠竹けづつてる、
みんながお空をみあげてる。


『金子みすゞ全集』 Ⅲ さみしい王女 pp59~60


6連12行
6、6。 10、10。 13、13。 6、6。 11、11。 13、13。


学校ではある日突然誰かが始めて遊びや服装・スタイルなど、何かが流行ることがあります。

昔の記憶を辿ると、アメリカンクラッカー、馬跳び、コックリさん、プロフィール帳などが思い出されます。

みすゞさんの頃には紙鉄砲が流行ったようです。

紙鉄砲と聞くと紙を折ってつくり腕を振り下ろして音を立てるものを思い浮かべますが、この詩で出てくる紙鉄砲、水に濡らした紙で 弾を作り、それを竹筒に押し込めて撃つもののようです。

そしてそういった流行はいつのまにか自然に廃れていったり、教師が危険と考えるものは禁止されてしまいます。

時代や地域によって様々なものが流行り、個々人の記憶に残っていくものと思います。

さて、みすゞさんの詩は学校で流行った遊びだけでは終わりません。

「一にち」で遊びが流行り出したのに言寄せ、「一にち」で「秋が來た」ことを持ち出し、さらに空をみあげるところまで持っていく、お決まりの視点の移動が用意されていました。



五十音順では本来「紙の星」の前に来るはずでしたが、見落としていました。



名詞:     紙鐵砲(2回)、 きのふ(2回)、 一にち(2回)、 みんな(4回)、 篠竹(2回)、 紙玉、 秋、 お空

形容詞:   ない、 暑い

動詞: 流行る、 切る、 くる(來る)(2回)、 こしらへる、 けづる、 みあげる



通算登場回数  
今回登場    (お)空(夕ぞら、青空、夜ぞら、夕やけ空):34作目   
 
今回登場なし  (お)海(外海内海):26作目   青(青い、青む):20作目    母さん(お母さま、母さま、かあさん、かあさま):19作目    赤(赤い、あかい):19作目   白(白い、しろい、眞白な):16作目    (お)舟・小舟・船・帆かけ舟:15作目  雲(雲間):12作目   お月さん(お月さま、月、月夜):11作目    (お)花:10作目   (お)星(さま):8作目    黒(黒い):8作目   波:7作目    雪(雪の日):7作目   (お)魚(さかな):6作目(タイトルのみ1作)    (お)父さま(父さん):4作目    みどり(こみどり):4作目    お祖母さま:3作目 石ころ(石):3作目 紅い:2作目 紺:2作目   藍いろ:1作目   紫(むらさき):2作目   金:1作目   さくら:1作目  


参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年



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