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金子みすゞ私的鑑賞  127. 硝子

金子みすゞ
02 /20 2023
硝子  

思ひ出すのは雪の日に
落ちて砕けた窓硝子

あとで、あとでと思つてて
ひろはなかつた窓がらす

びつこの犬をみるたびに
もしやあの日の窓下を
とほりやせぬかと思つては
忘れられない、雪の日の
雪にひかつた窓がらす


『金子みすゞ全集』 Ⅰ 青い空 p133


3連9行
12 12 12 12 12 12 12 12 12


行動しなかったことに対する後悔はよくあるものです。

日々の生活でも何度もありますが、ほとんどのことは忘れてしまいます。

強い印象があっもの、後悔の強いものがいつまでも心の中に残ります。

犬がびっこになった原因が硝子を踏んだことであったかはわかりませんが、みすゞさんは、砕けた窓がらすを自分がすぐに拾わなかったためではないかと罪悪感を感じるタイプの人だったようです。

そういうタイプの人が多くあれかしと祈るばかりです。


この詩には句読点が一つも使用されていません。



名詞:   雪の日(2回)、 窓硝子(がらす)(3回)、 びつこ、 犬、 日、 窓下、 雪

形容詞:  (ー)

動詞: 落ちる、 砕ける、 思ふ(2回)、 ひろふ、 みる、 とほる、 忘れる、 ひかる



通算登場回数  
今回登場    雪(雪の日):7作目    
 
今回登場なし  (お)空(夕ぞら、青空、夜ぞら、夕やけ空):33作目    (お)海(外海内海):25作目   母さん(お母さま、母さま、かあさん、かあさま):19作目    青(青い、青む):19作目    赤(赤い、あかい):19作目   白(白い、しろい、眞白な):16作目    (お)舟・小舟・船・帆かけ舟:15作目  雲(雲間):12作目   お月さん(お月さま、月、月夜):11作目    (お)花:10作目   (お)星(さま):8作目    波:7作目    黒い:7作目   (お)魚(さかな):6作目(タイトルのみ1作)    (お)父さま(父さん):4作目    みどり(こみどり):4作目    お祖母さま:3作目 石ころ(石):3作目 紅い:2作目 紺:2作目   藍いろ:1作目   紫(むらさき):2作目   金:1作目   さくら:1作目  


参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年



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