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金子みすゞ私的鑑賞  126. 蚊帳

金子みすゞ
02 /06 2023
蚊帳  

蚊帳のなかの私たち
網にかかつたお魚だ。
青い月夜の青い海
波にゆらゆら青い網。

なんにも知らずねてる間に
暇なお星が曳きにくる。
夜の夜なかに目がさめりや
雲の砂地にねてゐよう。


『金子みすゞ全集』 Ⅰ 青い空 p224


2連8行
11 12。 12 12。   13 12。 12 12。


現代人に蚊帳と言ってもイメージできる人は少ないと思います。

小学校までは蚊帳を吊って寝ていた私はかろうじてイメージできる世代に引っ掛かっています。

寝室を海の中に見立てたら、その中に寝ている私たちは、まさに網の中に捕らわれた魚です。

そして、朝になって蚊帳を吊っている輪っかを外してしまうと、その光景はまさしく砂浜に引き上げられた地引網そのものです。

この詩を実感をもって味わえるのですから、年をとっていることもまんざら悪いことではないようです。



名詞:   蚊帳、 なか、 私たち、 網(2回)、 お魚、 月夜、 海、 波、 暇、 お星、 夜(夜なか)、 目、 雲、 砂地

形容詞:  青い(3回)

動詞: かかる、 知る、 ねる(2回)、 曳く、 さめる、 ゐる



通算登場回数  
今回登場    (お)海(外海内海):25作目   青(青い、青む):19作目    雲(雲間):12作目   お月さん(お月さま、月、月夜):11作目    (お)星(さま):8作目    波:7作目    (お)魚(さかな):6作目(タイトルのみ1作)    
 
今回登場なし  (お)空(夕ぞら、青空、夜ぞら、夕やけ空):33作目    母さん(お母さま、母さま、かあさん、かあさま):19作目    赤(赤い、あかい):19作目   白(白い、しろい、眞白な):16作目    (お)舟・小舟・船・帆かけ舟:15作目  (お)花:10作目   黒い:7作目   雪:6作目    (お)父さま(父さん):4作目    みどり(こみどり):4作目    お祖母さま:3作目 石ころ(石):3作目 紅い:2作目 紺:2作目   藍いろ:1作目   紫(むらさき):2作目   金:1作目   さくら:1作目  


参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年



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