『日本文学史序説』Paragraph Briefings 社会的背景 その1
加藤周一
社会的背景
①日本文学に著しい特徴の一つに求心的傾向がある。ほとんどすべての作者・読者・題材はその時代の都会であった。
②中国、ヨーロッパにおいて一時代の文学が一つの都市に集中したことは、近代フランス文学を除いてなかったといってよい。
③文学が大都会に集中する傾向は、九世紀京都において徹底した。江戸時代は当時の大都会江戸が江戸文学の中心地になった。明治以降全国的な市場が成立したことにより、読者は全国に広がったが、文学において東京が方向を決め、地方がそれに従う傾向は、今日においてさらに著しい。
④文学作品の創作・享受のいずれかに関与する階層を文学的階層と定義した場合、日本における文学的階層の時代による交替は中国において一貫して高等教育を受けた「士」であったことと対照的である。
⑤日本の文学的階層は奈良時代には固定していなかった(『万葉集』の作者は貴族・僧侶・農民・兵士・無名の民衆と様々)。平安時代には貴族と僧侶が文学的階層を構成するようになった。
使用書籍
・『加藤周一著作集』巻4・巻5 平凡社 1979年
本日もご訪問いただきありがとうございました。

備忘録・雑記ランキン
①日本文学に著しい特徴の一つに求心的傾向がある。ほとんどすべての作者・読者・題材はその時代の都会であった。
②中国、ヨーロッパにおいて一時代の文学が一つの都市に集中したことは、近代フランス文学を除いてなかったといってよい。
③文学が大都会に集中する傾向は、九世紀京都において徹底した。江戸時代は当時の大都会江戸が江戸文学の中心地になった。明治以降全国的な市場が成立したことにより、読者は全国に広がったが、文学において東京が方向を決め、地方がそれに従う傾向は、今日においてさらに著しい。
④文学作品の創作・享受のいずれかに関与する階層を文学的階層と定義した場合、日本における文学的階層の時代による交替は中国において一貫して高等教育を受けた「士」であったことと対照的である。
⑤日本の文学的階層は奈良時代には固定していなかった(『万葉集』の作者は貴族・僧侶・農民・兵士・無名の民衆と様々)。平安時代には貴族と僧侶が文学的階層を構成するようになった。
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・『加藤周一著作集』巻4・巻5 平凡社 1979年
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