対訳『古事記伝』 66
本居宣長
326.【但し天は阿麻(アマ)とも曾良(ソラ)とも訓ムべく、地は久爾(クニ)とも登許呂(トコロ)とも訓べきが故に、言の定まらざることあり、
訳:【ただし、天は「阿麻(あま)」とも「曽良(そら)」とも言い、地は「久爾(くに)」とも「登許呂(ところ)」とも読むことができるので、「天」「地」の漢字だけでは読みが定まらないこともある。
327.故レ假字書の正しきには及ばず、
訳:仮名書きの正しさには及ばないのである。
328.されど又、言の意を具へたるは、假字書にまされり、】
訳:しかし語の意味を伝えている点では、かえって仮名書きに優っている。】
329.其ノ中に、股に俣と書キ、【こは漢國籍(カラクニブミ)になき文字なり、】橋に椅ノ字を用ひ、【こは橋の義(ココロ)なき字なり、】蜈蚣を呉公と作(カケ)る【こは偏を省ける例なり、】たぐひは、正字ながら別(コト)なるものにして、又各(オノオノ)一種(ヒトクサ)なり、
訳:その中に、「股」を「俣」と書き【これは漢籍にない文字である。】、「橋」に「椅」の字を用い【この字に「橋」の意味はない。】、「蜈蚣(むかで)」を「呉公」と書いた【これは偏を省いた例。】たぐいは、正字を用いていても別の字であって、これも一つの書き方である。
330.【其由どもは、各其處處にいふべし、】
訳:【その詳細は、各該当部で述べることとする。】
参考書籍
『本居宣長全集』第九巻 筑摩書房 1966年
『岩波古語辞典』 岩波書店 1974年
『古事記注釈 第一巻』 西郷信綱 著 ちくま学芸文庫 2005年
『本居宣長『古事記伝』を読む』Ⅰ~Ⅳ 2010年
『新版古事記』 中村啓信 訳注 KADOKAWA 2014年 電子書籍版
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年
『日本書紀上・下』 井上光貞監訳 2020年 電子書籍版
参考サイト
雲の筏:http://kumoi1.web.fc2.com/CCP056.html
本日もご訪問いただきありがとうございました。

備忘録・雑記ラ
訳:【ただし、天は「阿麻(あま)」とも「曽良(そら)」とも言い、地は「久爾(くに)」とも「登許呂(ところ)」とも読むことができるので、「天」「地」の漢字だけでは読みが定まらないこともある。
327.故レ假字書の正しきには及ばず、
訳:仮名書きの正しさには及ばないのである。
328.されど又、言の意を具へたるは、假字書にまされり、】
訳:しかし語の意味を伝えている点では、かえって仮名書きに優っている。】
329.其ノ中に、股に俣と書キ、【こは漢國籍(カラクニブミ)になき文字なり、】橋に椅ノ字を用ひ、【こは橋の義(ココロ)なき字なり、】蜈蚣を呉公と作(カケ)る【こは偏を省ける例なり、】たぐひは、正字ながら別(コト)なるものにして、又各(オノオノ)一種(ヒトクサ)なり、
訳:その中に、「股」を「俣」と書き【これは漢籍にない文字である。】、「橋」に「椅」の字を用い【この字に「橋」の意味はない。】、「蜈蚣(むかで)」を「呉公」と書いた【これは偏を省いた例。】たぐいは、正字を用いていても別の字であって、これも一つの書き方である。
330.【其由どもは、各其處處にいふべし、】
訳:【その詳細は、各該当部で述べることとする。】
参考書籍
『本居宣長全集』第九巻 筑摩書房 1966年
『岩波古語辞典』 岩波書店 1974年
『古事記注釈 第一巻』 西郷信綱 著 ちくま学芸文庫 2005年
『本居宣長『古事記伝』を読む』Ⅰ~Ⅳ 2010年
『新版古事記』 中村啓信 訳注 KADOKAWA 2014年 電子書籍版
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年
『日本書紀上・下』 井上光貞監訳 2020年 電子書籍版
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