文学作品最初と最後の一文 谷崎潤一郎 23
最初と最後の一文
111.『蘿堂先生』(1925年)
最初の一文:「A雑誌の訪問記者は、蘿堂先生に面會するのは今日が始めてなのである。」
最後の一文:「――此の光景を物の半時間も覗いてゐた記者は、變な氣がして、コソコソ逃げるやうに裏庭を出た。」
112.『二月堂の夕』(1925年)
最初の一文:「奈良の二月堂のお堂の下で、大勢の見物人が垣を作つて一人の婆さんの踊りを踊るのを眺めてゐる。」
最後の一文:「私はふいと、中学生の時分に、「加具土」と云ふ服部躬治の歌集の中で讀んだことのある一首の歌を想ひ起して、それを口のうちで繰り返した。――亡き父に似たる翁と語りけり長谷の御堂の春の夜の月」
113.『赤い屋根』(1925年)
最初の一文:「中山手三丁目で電車を降りて、三の宮の方へ一直線に下つてゐるアスフアルトの坂道を歩き出すと、繭子の姿勢には自ら一種の「形」がつき、足はひとりでに弾んで行つた。」
最後の一文:「ステツキがないので手持ち不沙汰のやうには見えたが、相變らず悠然と、四股を踏むやうな歩き振りで行くあのおやぢを、………」
114.『馬の糞』(1925年)
最初の一文:「本名を云ふのは差支へがあるから、假にAと名づけて置く。」
最後の一文:「Aは出し抜けにさう云つて笑つた。」
115.『爲介の話』(1926年)
最初の一文:「「ちよつと失禮します、あなたが那川子爵閣下で?――」
最後の一文:「特に有馬を擇んだのはほかにも理由があつたのであるが、……… (未完)」
参考書籍
『谷崎潤一郎全集』第10巻 中央公論社 1981年
本日もご訪問いただきありがとうございました。

備忘録・雑記ラ
最初の一文:「A雑誌の訪問記者は、蘿堂先生に面會するのは今日が始めてなのである。」
最後の一文:「――此の光景を物の半時間も覗いてゐた記者は、變な氣がして、コソコソ逃げるやうに裏庭を出た。」
112.『二月堂の夕』(1925年)
最初の一文:「奈良の二月堂のお堂の下で、大勢の見物人が垣を作つて一人の婆さんの踊りを踊るのを眺めてゐる。」
最後の一文:「私はふいと、中学生の時分に、「加具土」と云ふ服部躬治の歌集の中で讀んだことのある一首の歌を想ひ起して、それを口のうちで繰り返した。――亡き父に似たる翁と語りけり長谷の御堂の春の夜の月」
113.『赤い屋根』(1925年)
最初の一文:「中山手三丁目で電車を降りて、三の宮の方へ一直線に下つてゐるアスフアルトの坂道を歩き出すと、繭子の姿勢には自ら一種の「形」がつき、足はひとりでに弾んで行つた。」
最後の一文:「ステツキがないので手持ち不沙汰のやうには見えたが、相變らず悠然と、四股を踏むやうな歩き振りで行くあのおやぢを、………」
114.『馬の糞』(1925年)
最初の一文:「本名を云ふのは差支へがあるから、假にAと名づけて置く。」
最後の一文:「Aは出し抜けにさう云つて笑つた。」
115.『爲介の話』(1926年)
最初の一文:「「ちよつと失禮します、あなたが那川子爵閣下で?――」
最後の一文:「特に有馬を擇んだのはほかにも理由があつたのであるが、……… (未完)」
参考書籍
『谷崎潤一郎全集』第10巻 中央公論社 1981年
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