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西洋画家紀伝 8.ピエロ・デラ・フランチェスカ

西洋美術
10 /31 2021
ピエロ・デラ・フランチェスカ
Piero della Francesca

生:1415頃 ボルゴ・サンセポルクロ
没:1492   ボルゴ・サンセポルクロ


・イタリア初期ルネサンス期を代表する画家。

・ドメニコ・ヴェネツィアーノの助手としてフィレンツェに滞在したのを除いては、活動の大半をアレッツォとウルビーノで送った。

・遠近法の研究者で、数学者として記憶されていたが、19世紀に芸術家として評価されるようになった。

・遠近法を利用した投資図法、両感ある人体表現、清澄な色彩を特徴とする。

・ヴァザーリの評価「ピエロは、自然のものをそのまま写し取ること、そして何を写し取ったのかに絶えず言及することがいかに大切かをわからせてくれる。」

・晩年は数学の研究に専念し、『算術論』『遠近法論』『五正多面体論』の著作を残している。


作品
1450頃 『キリストの洗礼』ロンドン・ナショナルギャラリー
1445〜1462頃 『ミゼリコルディアの祭壇画』
1450~1460頃 『キリストの鞭打ち』 マルケ国立美術館
1452~1466頃『聖十字架伝説』アレッツオの聖フランチェスコ聖堂
1470頃『ブレラの祭壇画』ブレラ美術館
1472~1474『ウルビーノ公負債像』ウフィッツイ美術館


参考書籍
・『西洋美術史ハンドブック』 高階秀爾 編 新書館 1997年
・『増補新装 カラー版 西洋美術史 』 高階秀爾 監 美術出版社 2002年
・『いちばん親切な 西洋美術史』 池上英洋 著  新星出版社 2016年
・『鑑賞のための西洋美術史入門』 早坂優子 著  視覚デザイン研究所 2006年
・『知識ゼロからの西洋絵画史入門』 山田五郎 著 幻冬舎 2011年
・『改訂版 西洋・日本美術史の基本 美術検定1・2・3級公式テキスト』 美術検定委員会 編 美術出版社 2014年
・『世界のビジネスエリートが身につける教養「西洋美術史」』 木村泰司 著 ダイヤモンド社 2017年
・『世界の美術 コンパクト版』 アンドリュー・グレアム=ディクソン 監 河出書房新社 2017年



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漱石・読んだふり 『野分』 十一

漱石
10 /30 2021
漱石・読んだふり 『野分』 十一


登場人物(登場順)
・白井道也

・白井道也の妻

・高柳周作

・黒田東陽

・演説会の聴衆



ストーリー
・白井道也が兄から会いに来るようにとの手紙を受け取るが、返事だけ送る

・白井道也に妻が兄のところへ行くように説得するが、白井道也はそれを聞かずに演説会へ行く

・白井道也が演説会場で演説を行う(現在の人間の生きる意義、金持ちと文学者について)



歴史的事項・人物
・ゴシック
「十八世紀末のゴシック復活もまた大なる意味において父母のために存在したる小時期である。」

・スコット
「同時にスコット一派の浪漫派を生まんがために存在した時期である。」

・エリザベス朝、イプセン、メレジス、ニイチェ、ブラウニング
「自己を樹立せんがために存在したる時期の好例はエリザベス朝の文学である。個人について云えばイブセンである。メレジスである。ニイチェである。ブラウニングである。」

・孔子
「儒者は孔子のために生きている。」

・沙翁、ゲーテ
「明治も四十年になる、まだ沙翁が出ない、まだゲーテが出ない。」

・伊藤侯、山県侯、渋沢男、岩崎男
「政治に伊藤侯や山県侯を顧みる時代ではない。実業に渋沢男や岩崎男を顧みる時代ではない。」

・紅葉氏、一葉氏
「文学に紅葉氏一葉氏を顧みる時代ではない。」



語句
・一弾指:指を一度はじくこと。転じて、一度指をはじくほどのきわめて短い時間。瞬間。仏語。

・拱手(きょうしゅ):腕組みすること。 転じて、何もせずにいること。 手を下さないこと。

・容喙(ようかい):横から口出しをすること。差し出口。



繰り返す表現
・「政治家は一大事業をしたつもりでいる。学者も一大事業をしたつもりでいる。実業家も軍人もみんな一大事業をしたつもりでいる。したつもりでいるがそれは自分のつもりである。明治四十年の天地に首を突き込んでいるから、したつもりになるのである。」



演説に見る白井道也の哲学
・「われは父母のために存在するか、われは子のために存在するか、あるいはわれそのものを樹立せんがために存在するか、吾人生存の意義はこの三者の一を離るる事が出来んのである」

・「吾人は過去を有もたぬ開化のうちに生息している。したがって吾人は過去を伝うべきために生れたのではない。――時は昼夜を舎すてず流れる。過去のない時代はない。――諸君誤解してはなりません。吾人は無論過去を有している。しかしその過去は老耄した過去か、幼稚な過去である。則とるに足るべき過去は何にもない。明治の四十年は先例のない四十年である」

・「先例のない社会に生れたものは、自から先例を作らねばならぬ。束縛のない自由を享けるものは、すでに自由のために束縛されている。この自由をいかに使いこなすかは諸君の権利であると同時に大なる責任である。諸君。偉大なる理想を有せざる人の自由は堕落であります」

・「初期はもっとも不秩序の時代である。偶然の跋扈する時代である。僥倖の勢いを得る時代である。初期の時代において名を揚げたるもの、家を起したるもの、財を積みたるもの、事業をなしたるものは必ずしも自己の力量に由って成功したとは云われぬ。自己の力量によらずして成功するは士のもっとも恥辱とするところである。中期のものはこの点において遥に初期の人々よりも幸福である。事を成すのが困難であるから幸福である。困難にもかかわらず僥倖が少ないから幸福である。困難にもかかわらず力量しだいで思うところへ行けるほどの余裕があり、発展の道があるから幸福である。」

・「家に在っては父母を軽蔑し、学校に在っては教師を軽蔑し、社会に出でては紳士を軽蔑している。これらを軽蔑し得るのは見識である。しかしこれらを軽蔑し得るためには自己により大なる理想がなくてはならん。自己に何らの理想なくして他を軽蔑するのは堕落である。現代の青年は滔々として日に堕落しつつある」

・「西洋の理想に圧倒せられて眼がくらむ日本人はある程度において皆奴隷である。奴隷をもって甘んずるのみならず、争って奴隷たらんとするものに何らの理想が脳裏に醗酵し得る道理があろう。諸君。理想は諸君の内部から湧き出なければならぬ。諸君の学問見識が諸君の血となり肉となりついに諸君の魂となった時に諸君の理想は出来上るのである。」

・「拱手して成功を冀う輩は、行くべき道に躓いて非業に死したる失敗の児よりも、人間の価値は遥かに乏しいのである。」

・「一般の世人は労力と金の関係について大なる誤謬を有している。彼らは相応の学問をすれば相応の金がとれる見込のあるものだと思う。そんな条理は成立する訳がない。学問は金に遠ざかる器械である。金がほしければ金を目的にする実業家とか商買人になるがいい。学者と町人とはまるで別途の人間であって、学者が金を予期して学問をするのは、町人が学問を目的にして丁稚に住み込むようなものである」

・「金で相場のきまった男は金以外に融通は利かぬはずである。金はある意味において貴重かも知れぬ。彼らはこの貴重なものを擁しているから世の尊敬を受ける。よろしい。そこまでは誰も異存はない。しかし金以外の領分において彼らは幅を利かし得る人間ではない、金以外の標準をもって社会上の地位を得る人の仲間入は出来ない。もしそれが出来ると云えば学者も金持ちの領分へ乗り込んで金銭本位の区域内で威張っても好い訳になる。彼らはそうはさせぬ。しかし自分だけは自分の領分内におとなしくしている事を忘れて他の領分までのさばり出ようとする。それが物のわからない、好い証拠である」

・「金のあるものが高尚な労力をしたとは限らない。換言すれば金があるから人間が高尚だとは云えない。金を目安めやすにして人物の価値をきめる訳には行かない」



参考図書
『漱石全集』第四巻 岩波書店 1978年


日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社
デジタル大辞泉 小学館
ブリタニカ国際大百科事典 ブリタニカ・ジャパン


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復習「アタック25」 2021.3.14

アタック25
10 /29 2021
2021.3.14 タレント大会


Q1.「キク科」でないもの
ヒマワリ、マーガレット、タンポポ、コスモス、ガーベラ、パンジー

Q2.2021年ダルビッシュ有がシカゴ・カブスから移籍した球団

Q3.グリセリンを硝酸と硫酸の混合物で処理して得られる液体

Q4.小芝風花、高畑充希、中条あやみの出身都道府県

Q5.絵本『ピンポンパンポンプ』のモデルとなっている動物

Q6. 経済協力開発機構をアルファベット4文字であらわすと

Q7.リカちゃんとバービー、先に発売されたのは

Q8.いきものがかり、official髭男dism、NiziUの構成メンバーを足した人数

Q9.小説『推し、燃ゆ』で芥川賞を受賞した作家

Q10.岩手県の県花




A1.パンジー

A2.サンディエゴ・パドレス

A3.ニトログリセリン

A4.大阪府

A5.カピバラ

A6.OECD(Organization for Economic Co-operation and Developmennt)

A7.バービー

A8.16人

A9.宇佐美りん

A10.桐



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『百人一首一夕話』私訳  猿丸大夫③

百人一首
10 /28 2021
 かの道鏡は淡路廃帝(あはぢのはいてい)(淳仁天皇)の五年、始めて孝謙天皇にお会い申し上げて寵愛のされかたがはなはだしかったので、廃帝は常にそのことをお諫めになったが、孝謙天皇は聞く耳をお持ちにならなかった故、孝謙帝と廃帝とは不仲におなりになり、孝謙帝はとうとう廃帝を淡路国にお流しになり、自ら再度帝位におつきになり称徳天皇とお呼びすることになった。かくして称徳帝の天平神護元年に道鏡を太政大臣とし、同二年に法王の位をお授けになり三年正月道鏡を西宮の前殿にお坐らせになり、大臣以下の官人に命じて道鏡にお祝いの言葉を述べさせになった。これより先に太宰府の神主阿曾麿(あそまろ)という者が、かねてから道鏡の権勢があるのを観察して道鏡にへつらい、八幡宮の神託と偽って、道鏡を帝位におつかせになれば天下泰平が約束されるでしょうと天皇に申し上げた。道鏡はこのことを聞いて喜んだが、帝は和気清麻呂をお呼びになり次のようにおっしゃった。「この頃不思議な神託があう。汝は急ぎ宇佐に行き八幡宮の神命を聞いて来い」と。その時道鏡はひそかに和気清麻呂に次のように言った。「この度帝が八幡大神の勅使をあなたにお命じになったのは私が帝位につくことを帝に告げるためである。あなたはそのことをよく肝に銘じて帝に報告しなければなりません。もし成功した暁には上位の官職と位階をあなたに授けてその報酬としよう。」と。清麻呂はこの言葉を聞き捨てにして阿曾のもとへ向かったが、その途中真人豊永という人物に出会った。豊永は清麻呂に次のように語った。「道鏡がもし天皇の位を奪ってしまうことになれば、私はどんな顔をして奴の家臣となれというのだろう。もしそんなことになってしまえば貴殿とともに今の世の伯夷・叔斉となって、どこかの山に隠れ入ろう。」と。これを聞いて清麻呂も元来実直な人物であるから豊水の言葉に深く感じ入った。さて清麿が宇佐に詣でて都に帰り帝に申し上げるには、「私清麿は宇佐八幡大神のご神託を承りました。その内容は、我が国は天地開闢よりこの方、君主と家臣の区別は明確に決まっているにもかかわらず、今道鏡は非常識にも安易に帝位を望んでいることから、神は怒りその望みを受け入れることはなく、天皇位の継承は正当な天皇の系統の人物を立てるべきである、ということでした」周囲の誰憚ることなく申し上げたので、朝廷の場にいたすべての官人は清麿の言葉を聞いて冷や汗を流した。その際帝は黙然としておられたが、道鏡はこの言葉を聞いて大そう起こり、清麿を「穢麿(けがれまろ)」と改名させ大隅の国へ配流の刑に処したけれども、公卿大臣は道鏡の権勢を恐れ清麿を援ける人はいなかった。


参考書籍
『百人一首一夕話 上・下』 尾崎雅嘉著 岩波文庫 1972年
『岩波古語辞典』 岩波書店 1974年
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年


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『サピエンス全史』を英語版で読むための単語帳 31(p181~p185)

単語帳
10 /27 2021
p181

9 The Arrow of History

・elaborate:手の込んだ、精巧な

・immemorial:遠い昔の、太古からの


p182

・contradiction:矛盾

・reconcile:調和させる

・hold forth on:~を長々と述べ立てる

・lust:強い欲望

・meek:じっと我慢する、おとなしい

・pensive:憂いに沈む、悲しい

・minstrel:吟遊詩人

・Lancelot:アーサー王物語などに登場する伝説の人物

・Guinevere: アーサー王物語の登場人物で、アーサー王の王妃

・clergy:聖職者たち

・grapple with:(難問・困難などに)取り組む

・Camelot:アーサー王の宮廷があったという伝説上の町


p183

・curtail:(権利などを)縮小する、削ぐ

・insolvent:破産した

・equitqble:公正な、公平な

・infirm:弱い、虚弱な

・infringe on:~を侵害する


p184

・dissonance:不一致、不調和

・psyche:魂、精神、心

・asset:資産

・scuffle:乱闘する、つかみ合いをする

・teeter:ためらう;揺れる


The Spy Satellite

・coalesce:合体する

・crude:未熟な、未完成の

・swathe:包む

・shatter:こなごなになる


p185

・vantage point:有利な地点、見晴らしのきく地点

・proverbial:有名な、よく知られた

・myopic:近視眼的な

・speed bump:減速隆起帯

・oscillation:変動;振動



使用書籍
・Sapiens: A Brief History of Humankind Yuval Noah Harari Vintage(Penguin Random House UK) 2015

・新英和中辞典 第5版  研究社 1985


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対訳『古事記伝』 67

本居宣長
10 /26 2021
331三ツには借字(カリモジ)、

訳:三つ目は借り字。


332.こは字の義(ココロ)を取らず、ただ其ノ訓(ヨミ)を、異意(アダシココロ)に借リて書クを云ふ、

訳:これは字の意味には関係なく、その読みを異なった意味に使って書くことである。


333.序に、因テ訓ニ述ブレバ者、詞不逮バ心ニとある是レなり、

訳:『古事記』の序に「すべて訓字で表記すると言葉の意味が十分に通じない」と言っているのがこれに該当する。


334.神ノ名人ノ名地ノ名などに殊におほし、

訳:神名、人名、地名などに特に多く使われている。


335.其ノ餘(ホカ)のただの言にも、まれには用ひたり、

訳:その他の普通の表現にも、まれに用いられる。




参考書籍
『本居宣長全集』第九巻 筑摩書房 1966年
『岩波古語辞典』 岩波書店 1974年
『古事記注釈 第一巻』 西郷信綱 著 ちくま学芸文庫 2005年
『本居宣長『古事記伝』を読む』Ⅰ~Ⅳ 2010年
『新版古事記』 中村啓信 訳注 KADOKAWA 2014年 電子書籍版
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年
『日本書紀上・下』 井上光貞監訳 2020年 電子書籍版


参考サイト
雲の筏:http://kumoi1.web.fc2.com/CCP056.html


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備忘録・雑記ラ

文学作品最初と最後の一文  谷崎潤一郎 24

最初と最後の一文
10 /25 2021
116.『友田と松永の話』(1926年)
最初の一文:「私が、大和の國の「しげ女」と云ふ未知の婦人から、一通の手紙を受け取つたのは、今から五六年前、委しく云へば大正九年の八月二十五日である。」
最後の一文:「友田銀蔵はちよつと悲しげな眼つきをしたが、それでも私には、四十五と云ふ歳よりは慥かに三つ四つ若く見えた。」


117.『一と房の髪』(1926年)
最初の一文:「「さあ、デイツクさん、どうかあなたの話と云ふのを聞かして下さい、いい鹽梅に今は誰もゐませんから。」
最後の一文:「私は急にしんしんと寒氣を覚えて、ストーヴの方へ身を屈めた。」


118.『金を借りに來た男 一幕』(1926年)
最初の一文:「豐田 はてな、此れぢやあなかつたかな。」
最後の一文:「細君 左樣でございますか、それはまあ、何のおあいそもございませんで。」


119.『上海見聞録』(1926年)
最初の一文:「今度上海へ出かけて行つて一番愉快だつたことは、彼の地の和解藝術家連との交際であつた。」
最後の一文:「西洋を知るには矢張り西洋へ行かなければ駄目、支那を知るには北京へ行かなければ駄目である。」


120.『上海交遊録』(1926年)
最初の一文:「或る日、上海へ着いて間もなく、三井銀行の支店長をしてゐる舊友のT氏に招かれて、「功德林」と云ふ支那の精進料理屋へ行つた。」
最後の一文:「では田漢君、左樣なら。」




参考書籍
『谷崎潤一郎全集』第10巻 中央公論社 1981年


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『夕陽妄語』を読むために 「むだ遣い体制」

加藤周一
10 /24 2021
むだ遣い体制 1998.10.21

・ジョン・ガルブレイス(John Kenneth Galbraith 1908〜2006):アメリカの経済学者。カナダ生まれ。第2次世界大戦中は物価統制官などアメリカ合衆国政府の官吏として勤めるかたわら,1943~48年雑誌『フォーチュン』 Fortune編集委員。ジョン・F.ケネディ大統領の顧問を務め、1961~63年駐インド大使。拮抗力や依存効果、テクノストラクチュアなどの新しい概念を導入して、しだいに管理社会化しつつあるアメリカを中心とする現代資本主義の構造的特徴の解明を行なって注目を集めた。



参考書籍
日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社
デジタル大辞泉 小学館
ブリタニカ国際大百科事典 ブリタニカ・ジャパン
精選版 日本国語大辞典


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仏像学習 149 仏像永劫回帰10. 諸天

仏像
10 /23 2021
仏像学習 149 仏像永劫回帰10. 諸天

天の名がついている仏教のほとけはバラモン教やその他の宗教の神々がそのまま取り入れられて信仰されるようになったもの。

仏教が興起した際、すでに存在していた他宗教の神々に対して寛容な態度を示し、それらの神々を仏教の世界を守る守護神として扱うことによって受け入れられる戦略を取ったと考えられる。

日本における天部像で最古のものは法隆寺金堂四天王像。

四天王は仏教以前からインド人の間に信仰されていた神で、世界の中心にある聖なる山須弥山の頂上に住む帝釈天の眷属として山の中腹にある四方の門を守護する神とされていた。

仏像を安置する須弥壇は須弥山の名から来ている。

日本の四天王像で忿怒の表情を示した最初のものは法隆寺食堂の塑像四天王像。

四天王の像容を説く経典は『陀羅尼集経(じっきょう)』。

四天王の名前を覚える方法として「地蔵買うた」が使われている。(持国天、増長天、広目天、多聞天)。

密教流行以降の方位を守護する天部としては十二天像が一般的になった。

その他の護法神
金剛力士像:門を守護
八部衆:釈迦を守護
十二神将:薬師を守護

諸天のうち単独で大衆の信仰を得るようになった最初の部神は毘沙門(多聞)天。

『金光明最勝王経』に女性の天部像が護法神として吉祥天、弁財天、鬼子母神が記されている。

吉祥天は仏教では功徳天とされ、鬼子母神と徳叉迦の子で毘沙門天の妃とされる。インドでは幸福の女神でビシュヌ神の妃とされている。




参考文献
・『仏像 心とかたち[完全版]』望月信成 佐和隆研 梅原猛 著 NHKBOOKS 2018年
・『写真・図解 日本の仏像 この一冊ですべてがわかる!』 薬師寺君子 著 西東社 2016年


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金子みすゞ私的鑑賞  99.大きな文字

金子みすゞ
10 /22 2021
99. 大きな文字  

お寺のいてふの
大筆で
誰か、大文字
かかないか。

東のお空
いつぱいに
「コドモノクニ」と
書かないか。

いまに出てくる
お月さん、
びつくり、しやつくり
させないか。


『金子みすゞ全集』Ⅰ 美しい町 p120


3連12行
8 5 7 5。  7 5 7 5。  7 5、 8 5。


黄色く色づいた葉がたわわについたイチョウの木を筆に見立てる発想はダイナミックです。

私なら形状からパンパスグラスとするでしょうが、それでは「大きな文字」を書くには物足りません。

なぜ「コドモノクニ」なのかはわかりませんが、常に子供の目線のみすゞさんですから、この世界が「コドモノクニ」だったらという気持ちの表れでしょうか。

みすゞさんが雑誌に詩を投稿し始めた同じ時期に「コドモノクニ」という児童向けの絵雑誌が発刊しており、みすゞさんも当然目にしていたと思われます。

ネットで検索すると、長門市立図書館前の植え込みの中にこの詩の詩碑があるようで、実物を見たことはありませんが、何となく素敵です。
http://monument.sakura.ne.jp/file/ookinamoji.html



名詞:    お寺、 いてふ、 大筆、 誰、 大文字、 東、 お空、 コドモノクニ、 お月さん

形容詞:  (ー)

動詞: かく(書く)(2回)、 出てくる、 させる



通算登場回数  
今回登場    (お)空(夕ぞら、青空):26作目    お月さん(お月さま):7作目    
 
今回登場なし  母さん(お母さま、母さま、かあさん、かあさま):16作目     海(外海内海):21作目    青(青い):14作目    赤(赤い):14作目   白(白い、しろい、眞白な):13作目     (お)舟・小舟・船:12作目 (お)花:9作目    雲:8作目   波:6作目     (お)星(さま):6作目    (お)魚(さかな):5作目(タイトルのみ1作)    黒い:5作目   みどり(こみどり):4作目    雪:4作目   (お)父さま(父さん):3作目    お祖母さま:3作目 石ころ(石):2作目 紅い:2作目 藍いろ:1作目   金:1作目    さくら:1作目



参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年



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Radiology2003

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