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Toward 「Qさま!!」 セルフトレーニング119 復習(2019.6.3)

Toward 「Qさま‼︎」
12 /31 2019
2019.6.3 東大男子軍団VS東大女子軍団 日本語SP


Q1:漢字の読み
①大蒜  ②蚕豆  ③萵苣  ④辣韭  ⑤蕃茄
⑥蕃瓜樹  ⑦眉児豆  ⑧蕃椒  ⑨鶏冠木  ⑩沈菜
⑪長閑  ⑫面皰  ⑬羆  ⑭稚海藻  ⑮外方
⑯鼯鼠  ⑰角鴟  ⑱天牛  ⑲柳葉魚  ⑳蝌蚪
㉑長尾驢  ㉒螽斯  ㉓鰰  ㉔玄鳥  ㉕沓手鳥


Q2:文字を並べ替えてことわざ・慣用句を完成
①おおなしにな
②じすいのはんい
③れいわそばがま
④おいのちいはきく
⑤たつやのはしらが


Q3:より丁寧な日本語に言い換え(□にはひらがなが入る)
①「協力してください」→「□□□□□□ください」
②「お受け取りください」→「□□□□□ください」
③「暇なときに」→「お□□□の時に」
④「とんでもない」→「□□□□もない」
⑤「もったいないお言葉」→「□□□□□お言葉」




A1
①ニンニク  ②ソラマメ  ③レタス  ④ラッキョウ  ⑤トマト
⑥パパイヤ  ⑦インゲンマメ  ⑧トウガラシ  ⑨カエデ  ⑩キムチ
⑪のどか  ⑫ニキビ  ⑬ヒグマ  ⑭ワカメ  ⑮そっぽ
⑯モモンガ  ⑰ミミズク  ⑱カミキリムシ  ⑲シシャモ  ⑳オタマジャクシ
㉑カンガルー  ㉒キリギリス  ㉓ハタハタ  ㉔ツバメ  ㉕ホトトギス



A2
①青菜に塩
②背水の陣
③破竹の勢い
④急がば回れ
⑤白羽の矢が立つ



A3
①「お力添えください」
②「ご査収ください」
③「お手すきの時に」
④「滅相もない」
⑤「身に余るお言葉」



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下の句50音順にたどる百人一首 No78 みの

百人一首
12 /30 2019
No.78(No45)
下の句
みの・いたづらになりぬべきかな
(身のいたづらに なりぬべきかな)

上の句
あはれ・ともいふべきひとはおもほえで
(哀れとも いふべき人は 思ほえで)


意味
私のことを「ああ、かわいそうに」と言って同情してくれそうな人は思いつかなくて、きっとこのまま死んでしまうのでしょう。



出典
『拾遺集』巻15恋5・950
「ものいひ侍りける女の後につれなく侍りてさらにあはず侍りければ」


作者
謙徳公(藤原伊尹)
924~972 平安前・中期の公卿・歌人。
藤原師輔の長男、貞信公忠平の孫。一条摂政とも称した。
謙徳公は諡。
美男で和歌の名手。


備考
・「あはれ」は感動詞。「ああ、かわいそうに」。

・「と」は内容指示の格助詞。

・「も」は強意の係助詞。

・「べき」は当然の助動詞の連体形。終止形接続。

・「思ほえ」は動詞ヤ行下二段活用「思ほゆ」の未然形で、「自然と思いつく」。

・「で」は打消しの意を含む接続助詞。

・「(身が)いたづらになる」は「空しく死ぬ」こと。

・「ぬ」は完了の助動詞の終止形で、強意に転じている。

・「べき」は推量の助動詞の連体形。「むべき」で「きっとなるだろう、なるにちがいない」の意。

・「かな」は感動の終助詞。



参考書籍
『百人一首一夕話 上・下』 尾崎雅嘉著 岩波文庫
『ビジュアル版 日本の古典に親しむ② 百人一首』 大岡信著 世界文化社
『別冊太陽 百人一首への招待』 吉海直人監修 平凡社
『解説 百人一首』 橋本武著 ちくま学芸文庫


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対訳『古事記伝』 3

本居宣長
12 /29 2019
11. さて書紀は、同宮ニ御宇(アメノシタシロシメシ)高瑞淨足姫ノ天皇ノ御世、養老四年にいできつと、續記に記されたれば、彼(カレ)は此記に八年おくれてなむ成れりける、

訳:さて、『日本書紀』は同じ平城京で高瑞淨足姫天皇(元正天皇)の御代、養老四年に完成したと、『續日本紀』に記されているのだから、『古事記』に八年遅れて出来上がったことになる。


12. さて此記は、字(モジ)の文(アヤ)をもかざらずて、もはら古語(フルコト)をむねとはして、古ヘの實(マコト)のありさまを失はじと勤めたること、序に見え、又今次々に云が如し、

訳:さてこの『古事記』は表現の文を飾らず、もっぱら古語を旨として、昔の事実が忘れられないように努めたことが、序文に記されており、又これから述べる通りでもある。


13. 然るに彼ノ書紀いできてより、世ノ人おしなべて、彼レをのみ尊(タフト)み用ひて、此記は名をだに知ラぬも多し、

訳:ところが、『日本書紀』ができてからは、世の人々は『書紀』だけを尊重して利用し、『古事記』のことは名前さえ知らない人も多い。


14. 其ノ所以(ユエ)はいかにといふに、漢籍(カラブミ)の學問(マナビ)さかりに行はれて、何事も彼ノ國のさまをのみ、人每にうらやみ好むからに、書紀の、その漢國(カラクニ)の國史と云フふみのさまに似たるをよろこびて、此記のすなほなるを見ては、正(マサ)しき國史の體(サマ)にあらずなど云て、取ラずなりぬるものぞ、

訳:その理由はなぜかと言えば、中国の書物の学問が盛んに行われ、何事も中国風のものだけを誰もが憧れ好むために、『日本書紀』が中国の国史と言われている書物の書き方に似ているのを喜び、『古事記』の表現の素直なことから、正式な国史の体裁ではないなどと言って、取り上げなくなったのだと思われる。


15. 或人、かく云をあやしみて問ヒけらく、此記いできていくばくもあらざるに、又書紀を撰バしめ賜へるは、此記に誤リあるが故ならじやは、

訳:ある人は、私がこのように言うのを訝しんで、次のように尋ねてきた。「『古事記』ができていくらも経っていないのに、更に『日本書紀』を編纂おさせになられたのには、この『古事記』に誤りがあるからではないですか」と。



参考書籍
『本居宣長全集』第九巻 筑摩書房 1966年
『本居宣長『古事記伝』を読む』Ⅰ~Ⅳ 2010年
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年


参考サイト
雲の筏:http://kumoi1.web.fc2.com/CCP051.html

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文学作品最初と最後の一文 芥川龍之介 3

最初と最後の一文
12 /28 2019
11.『野呂松人形』(1916年7月18日)
最初の一文:「野呂松人形を使ふから、見に来ないかと云ふ招待が突然来た。」
最後の一文:「僕は、次の狂言を待つ間を、Kとも話さずに、ぼんやり、独り「朝日」をのんですごした。」


12.『芋粥』(1916年8月)
最初の一文:「元慶の末か、仁和の始にあった話であらう。」
最後の一文:「五位は慌てて、鼻をおさへると同時に銀の提に向かつて大きな嚔をした。」


13.『猿』(1916年8月)
最初の一文:「私が、遠洋航海をすませて、やつと半玉(軍艦では候補生のことをかう云ふのです)の年期も終らうと云ふ時でした。」
最後の一文:「猿は懲罰をゆるされても、人間はゆるされませんから。」


14.『手巾(はんけち)』(1916年9月)
最初の一文:「東京帝国法科大学教授、長谷川勤造先生は、ヴェランダの籐椅子に腰をかけて、ストリントベルクの作劇術(トラマトウルギイ)を読んでゐた。」
最後の一文:「先生は、不快さうに二三度頭を振つて、それから又上眼(うはめ)を使ひながら、ぢつと、秋草を描いた岐阜提灯の明い灯を眺め始めた。……」


15.『煙草と悪魔』(1916年10月21日)
最初の一文:「煙草は、本来、日本になかつた植物である。」
最後の一文:「唯、明治以降、再(ふたたび)、渡来した彼の動静を知る事が出来ないのは、返へす返へすも、遺憾である。」



参考書籍
『芥川龍之介全集』第1巻  筑摩全集類聚 筑摩書房 1971年


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『夕陽妄語』を読むために 「不思議な国で」

加藤周一
12 /27 2019
「不思議な国で」  1994.7.18


・モロ(Aldo Moro 1916〜1978):イタリアの政治家。キリスト教民主主義党員となり、第二次世界大戦後にイタリアが共和制国家になって初めて行われた1946年の選挙で国会議員に初当選。1963年 11月キリスト教民主党・社会党・社会民主党・共和党の4党連立による中道左派の内閣を組閣し、以後64年第2次、66年第3次内閣を組閣。1974年11月~76年4月第4~5次内閣の首相をつとめたが妊娠中絶法をめぐって党内で紛糾、首相を辞任。

・ベルリングエル(Enrico Berlinguer 1922〜1984):イタリアの政治家。1943年共産党入党。P.トリアッチが提唱した独自の社会主義への道を促進し、ユーロコミュニズムの旗頭となった。 1973年カトリック・保守層との「歴史的妥協」を発表。

・金日成(1912~1994):朝鮮民主主義人民共和国の政治家。第二次大戦後、北朝鮮臨時人民委員会委員長を経て、1948年の建国とともに首相に就任。1972年国家主席となる。


・ABCD包囲網:太平洋戦争直前、米国・英国・中国・オランダの4か国が、南進する日本に対抗して形成した対日経済制裁を主とした封鎖網。日本政府が対外危機感をあおるため宣伝した語。ABCDはAmerica、Britain、China、Dutchの頭文字。



参考書籍
日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社
デジタル大辞泉 小学館
ブリタニカ国際大百科事典 ブリタニカ・ジャパン
精選版 日本国語大辞典


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仏像学習 99. 国宝仏像各論66 弥勒仏坐像(興福寺)

仏像
12 /26 2019
仏像学習 99. 国宝仏像各論66 弥勒仏坐像(興福寺)


所在:興福寺 北円堂

指定:1951年

制作年:1212年

制作法:木造、漆箔

像高:141.9cm


像容
・如来形の坐像。

・右手:掌を前に向けて施無畏印として第1・2指を捻じる。
 左手:膝上において掌を仰ぐ与願印。



備考
・創建時の像は1049年焼失、再興像も1180年の兵火で焼失。

・弥勒菩薩が成仏した姿。

・運慶作。

・厨子、心月輪(しんがちりん)などの納入品あり。




興福寺ホームページ
http://www.kohfukuji.com/property/cultural/110.html


仏像リンク
https://butsuzolink.com/kofukuji/#i-6


参考書籍
週刊朝日百科 日本の国宝057 1998年


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金子みすゞ私的鑑賞 48.海の色

金子みすゞ
12 /25 2019
48. 海の色


朝はぎんぎら銀の海、
銀はみんなを黒くする。
ランチの色も、帆の色も、
銀の破(や)れめもみな黒い。

晝はゆらゆら青い海、
青はみんなをあるままに。
うかぶ藁くづ、竹のきれ、
バナナの皮も、あるままに。

夜はしづかな黒い海、
黒はみんなをおひかくす。
船はゐるやら、ゐないやら、
赤い灯(ともし)のかげばかり。




『金子みすゞ全集』Ⅱ空のかあさま p50


3連12行
12、12。12、12。  12、12。12、12。  12、12。12、12。


海の色を、朝は銀、昼は青、夜は黒で表現しています。

朝日に海面がキラキラ輝く様を銀、昼ののどかな海面を青、夜の海面を黒というの素直に受け取れます。

夜の黒の中にも赤い灯が配されるのも印象的です。

ただ、朝の銀からその酸化した色の黒へと内容が移行しているのは、個人的には違和感を覚えます。


みすゞさんの時代にも海面には「藁くづ」や「竹のきれ」「バナナの皮」が浮かんでいたのでしょうか。


すべての行が12音で構成されています。



名詞:   朝、 銀(3回)、 海(3回)、 みんな(3回)、 ランチ、 色(2回)、 帆、 破れめ、 みな、 晝、 青、 藁くづ、 竹、 きれ、 バナナ、 皮、 夜、 黒、 船、 灯、 かげ

形容詞:  黒い(3回)、 青い、 赤い

動詞:  する、 ある(2回)、 おひかくす、 ゐる(2回)



通算登場回数  
今回登場      赤(赤い):11作目   青(青い):9作目    海(外海内海):9作目    (お)舟・船:5作目      黒い:2作目          
今回登場なし    (お)空:14作目     母さん(お母さま、母さま、かあさん、かあさま):10作目    白(白い、眞白な):8作目    花:5作目     雲:5作目    (お)父さま(父さん):3作目   波:3作目    (お)星:3作目    石ころ(石):2作目 みどり(こみどり):2作目    雪:2作目    お月さん:1作目    紅い:1作目 藍いろ:1作目



参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年




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巡回健診診察マニュアル 66 まれに出会う現病歴・既往歴 MDS

医療
12 /24 2019
骨髄異形成症候群(MDS myelodysplastic syndromes)


1.概念
・骨髄中の造血幹細胞の異常により、正常な血液細胞の形成に障害を来す疾患。

・骨髄と末梢血中の芽球の割合などにより10病型に分類される。

・芽球の割合が20%以上になった時点で、MDSではなく急性骨髄性白血病に移行したと診断される(移行率は10~20%)。

・有病率:15歳以上の人口10万人あたり3人。

・男女比は2:1  年齢中央値は65歳。



2.原因
・不明。

・約50%に染色体異常がみられるが、先天的なものではない。



3.症状
・血球に由来する症状が発生。

・赤血球減少:顔色不良、全身倦怠感、動悸、息切れなど

・白血球減少:病原体に対する抵抗力の低下による様々な感染症の発症

・血小板減少:皮膚・粘膜の点状出血や鼻出血



4.治療
・病型・症状により異なる。

・支持療法:輸血、薬物(蛋白同化ホルモン、キレート剤、抗生物質・抗真菌薬)

・免疫抑制療法

・化学療法(アザシチジン)

・造血幹細胞移植



5.予後
・一般的に不応性貧血と環状鉄芽球を伴う不応性貧血の段階で留まるならば比較的良好。骨髄中の芽球が5%以上に増加すると、治療に難反応性であり予後は不良。



参考サイト
・国立がん研究センター:https://ganjoho.jp/public/cancer/MDS/index.html

・慶應義塾大学病院:http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/000016.html

・大阪市立大学病院:http://kompas.hosp.keio.ac.jp/sp/contents/000016.html



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各国個人的調査  クック諸島

国情報
12 /23 2019
クック諸島( 庫克群島 )



0.国名・国旗
国名
ヨーロッパ人として初めてこの地を発見したジェームズ・クックにちなむ。

国旗
比率 1:2 1979年制定

イギリスのブルー・エンサインを基調とする。
カントン部分のユニオン・ジャックはかつて英連邦の一員であった事を表す。
広大な太平洋を表わす青色の上に円弧状に配列された15の星は、クック諸島を構成する15の島々を表す。



1.面積
237㎢ (徳之島とほぼ同じ)


2.人口・人口密度
18,600人(2018年 アジア開発銀行)

78.5人㎢


3.首都
アバルア(ラロトンガ島)


4.言語
クック諸島マオリ語,英語(共に公用語)


5.宗教
キリスト教97.8%(クック諸島教会派69%、ローマ・カトリック15%等)


6.略史
1595年:スペイン人メンダナが南太平洋航海中プカプカ島を確認。
1773年:英国探検家クックがこの地域の諸島に上陸し調査を始める。
1888年:イギリスの保護領となる。
1901年:ニュージーランドの属領となる。
1965年:内政自治権を獲得し、ニュージーランドとの自由連合に移行。
1973年:独自に諸外国と外交関係を持つ権利が認められる。


7.通貨
ニュージーランド・ドル


8.政治
立憲君主制

元首:エリザベス2世女王

議会:一院制(定数24)


9.経済
観光業、農業、漁業(黒真珠養殖)、金融サービス


10.世界遺産(0件)


11.その他
・世界唯一3ドル紙幣がある。



参考サイト
外務省:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/cook/data.html#section1



参考書籍
『国旗・国歌の世界地図』21世紀研究会編 文春新書 2008年
『今がわかる時代がわかる 世界地図 2016年版』 成美堂出版
『世界遺産大事典』上・下 マイナビ出版 2016年
『なるほど知図帳世界 2017』 昭文社
日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社


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漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑨ 九

漱石
12 /22 2019
漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑨ 九


時期
明治38年
「八」の一週間後



登場人物(登場順)
・吾輩

・主人(苦沙味)

・御三

・迷亭

・迷亭の静岡の伯父

・理野陶然(迷亭の話の中)

・立町老梅(天道公平)(迷亭の話の中)

・警視庁刑事巡査吉田虎蔵

・泥棒



ストーリー
・主人の痘痕面について。

・主人が鏡で自分の顔を見ている様子の描写。

・3通の郵便物の内容(華族・縫田針作・天道公平)

・迷亭が静岡の伯父を連れて主人宅を訪れる。

・迷亭・静岡の伯父・主人との会話(甲割、名目読み)

・迷亭と主人との会話(八木独仙、理野陶然、立町老梅)

・巡査が逮捕した泥棒を連れて訪れる。

・主人の考え事(自分が気狂になっているのではないか)。



言及される歴史上の人物・事項
・浅田宗伯
「主人の小供のときに牛込の山伏町に浅田宗伯という漢方の名医があったが、この老人が病家を見舞うときには必ずかごに乗ってそろりそろりと参られたそうだ。」p330

・エピクテタス
「エピクテタスなどを鵜呑みにして学者ぶるよりも遥かにましだと思う」p338

・親鸞、日蓮
「海鼠を食えるものは親鸞の再来にして、河豚を喫せるものは日蓮の分身なり。」p343

・『道徳経』、『易経』、『臨済録』
「だから主人がこの文章を尊敬する唯一の理由は、道家で『道徳経』を尊敬し、儒家で『易経』を尊敬し、禅家で『臨済録』を尊敬すると一般で全く分らんからである。」p345

・楠正成
「楠正成時代から用いたようで……」p351

・孟子、卲康節、中峯和尚
「孟子は求放心といわれた位だ。卲康節は必要放と説いた事もある。また仏家では中峯和尚というのが具不退転という事を教えている。」p352

・沢菴禅師」
「御前は沢菴禅師の『不動智神妙録』というものを読んだ事があるかい」p352



語句・表現
・万古不磨:いつまでも消えることなく残ること。

・孤城落日:周囲を敵に囲まれて援軍のいない城と、西に傾いていく夕日。転じて、隆盛をきわめた昔の勢いがなくなり、ただ零落の一途をたどるだけの状態をたとえていう。

・植え疱瘡:種痘の俗称。

・メリンス:メリノ種の羊毛で織った薄く柔らかい毛織物。モスリン。唐縮緬

・離魂病:夢遊病

・穴守稲荷:1804年羽田沖の干拓地の堤防が海が荒れて決壊し、水田は海水による甚大な被害を受けた。村民が天下泰平を祈願し、堤防の上に祠を勧請し稲荷大神を祀ったのが穴守稲荷神社の起こりとされている。堤防に開いた穴の害から人々を守るという神徳にちなむ。

・見性(けんしょう)自覚:自身の生まれつき持っている性質を悟ること。

・蠧紙堆裏(としたいり):高く積み上げられた古い書物の中のこと。

・妍醜:美しいことと醜いこと。

・八分体(はっぷんたい):漢字の書体の一つ。秦代にできた隷書のうち、前漢の後半期に起ったもので、線が波形で筆端をはねる「波磔 (はたく) 」をもつ書体。

・陌上の塵:路上の塵や砂ぼこり。転じて、飛び散って定めないことのたとえ。

・滄桑の変:「滄海」と「桑田」、つまり大海原と桑畑。青い海だった所が桑畑になるほどに世の中の移り変わりの激しさをいった言葉。

・蓮生坊:鎌倉初期の武将、熊谷直実の出家後の号。

・具不退転:後ろを振り返らずに、物事をやり通すという気持ちをもつこと。

・名目読み:漢字の、習慣などによる特別な読み方。

・石火(せっか)の機:火打ち石を打って出す火。きわめてわずかの時間、はかないこと、すばやい動作などのたとえに用いる。『不動智神妙録』に出てくる表現。

・拱手(きょうしゅ):中国の敬礼で、両手の指を胸の前で組み合わせておじぎをすること。

・カイゼル:ドイツ皇帝の称号。ローマのカエサルに由来。日本ではウィルヘルム2世を指すことが多い。その独特の口髭が「カイゼル髭」と呼ばれた。



読みづらい漢字
・溷濁(こんだく)
・撓(た)めて
・蚯蚓(みみず)
・白雨(ゆうだち)
・擅まま(ほしい・まま)



今日にも通用する内容
・「自分で自分の馬鹿を承知しているほど尊とく見える事はない。この自覚性馬鹿の前にはあらゆるえらがり屋が悉く頭を下げて恐れ入らねばならぬ。」p338

・「およそ天地の間にわからんものはたくさんあるが意味をつけてつかないものは一つもない。どんなむずかしい文章でも解釈しようとすれば容易に解釈の出来るものだ。人間は馬鹿であるといおうが、人間は利口であるといおうが手もなくわかる事だ。それどころではない。人間は犬であるといっても豚であるといっても別に苦しむほどの命題ではない。山は低いといっても構わん、宇宙は狭いといっても差し支はない。烏が白くてこまちが醜婦で苦沙弥先生が君子でも通らん事はない。」p344

・「主人は何に寄らずわからぬものをありがたがる癖を有している。これはあながち主人に限った事でもなかろう。分からぬ所には馬鹿に出来ないものが潜伏して、測るべからざる辺には何だか気高い心持が起るものだ。それだから俗人はわからぬ事をわかったように吹聴するにもかかわらず、学者はわかった事をわからぬように講釈する。大学の講義でもわからん事を喋舌る人は評判がよくってわかる事を説明する者は人望がないのでもよく知れる。」p345

・「一体禅とか仏とかいって騒ぎ立てる連中ほどあやしいのはないぜ」p358

・「迷亭から見ると主人の価値は強情を張っただけ下落したつもりであるが、主人からいうと強情を張っただけ迷亭よりえらくなったのである。世の中にはこんな頓珍漢な事はままある。強情さえ張り通せば勝った気でいるうちに、当人の人物としての相場は遥かに下落してしまう。不思議な事に頑固の本人は死ぬまで自分は面目を施こしたつもりかなにかで、その時以後人が軽蔑して相手にしてくれないのだとは夢にも悟り得ない。幸福なものである。」p367

・「ことによると社会はみんな気狂の寄り合かも知れない。気狂が集合して鎬を削ってつかみ合い、いがみ合い、罵り合い、奪い合って、その全体が団体として細胞のように崩れたり、持ち上ったり、崩れたりして暮らして行くのを社会というのではないかしらん。その中で多少理窟がわかって、分別のある奴はかえって邪魔になるから、瘋癲院というものを作って、ここへ押し込めて出られないようにするのではないかしらん。すると瘋癲院に幽閉されているものは普通の人で、院外にあばれているものはかえって気狂である。気狂も孤立している間はどこまでも気狂にされてしまうが、団体となって勢力が出ると、健全の人間になってしまうのかも知れない。大きな気狂が金力や威力を濫用して多くの小気狂を使役して乱暴を働いて、人から立派な男だといわれている例は少なくない。」p371



面白い表現、言い換えを畳み込む表現
・「鏡は己惚の醸造器である如く、同時に自慢の消毒器である。」p338




参考図書
『漱石全集』第一巻、第二巻 岩波書店 1978年
『吾輩は猫である』 岩波文庫
『漱石大全』Kindle版 第3版 古典教養文庫
『カラー版新国語便覧』 第一学習者 1990年
『漱石とその時代』1~3 江藤淳 著 新潮選書
『決定版 夏目漱石』 江藤淳 著 新潮文庫
『夏目漱石を読む』 吉本隆明 著 ちくま文庫
『特講 漱石の美術世界』 古田亮 著 岩波現代全書


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