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仏像学習 67.国宝仏像各論34 千手観音立像(広隆寺)

仏像
03 /31 2019
仏像学習 67.国宝仏像各論34 千手観音立像(広隆寺)

所在:広隆寺 霊宝殿

指定:1953年

制作年:9世紀中頃

制作法:木造(乾漆併用) 彩色

像高:264.0cm

像容
・長い脇手を左右に広げる表現は、脇手を放射状に配することの多い千手観音像の中にあって、特徴的。

・十一面四十二臂

・衣文は翻波式。

・頭上面は別材枘差し。

・合掌手・宝鉢手は、肩・肘・手首で矧ぐ。


備考
・『実録帳』には「檀像」と記されていることから、もとは白檀材の色に彩色されていたと考えられる。

・脇手のうち白払手・輪宝手・独鈷手・宝螺手のすべて、宮殿手・日摩尼手・軍持手・宝鏡手・宝経手の上・前膊、鉄鉤手の手首先、持仏のすべて、は後補。



仏像リンク
https://butsuzolink.com/koryuji/#i-9


参考書籍
週刊朝日百科 日本の国宝015 1997年


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金子みすゞ私的鑑賞 16 朝と夜

金子みすゞ
03 /30 2019
16 朝と夜


朝はどこからやつてくる。

東の山からちよいとのぞき、
みるまに空を駈けぬけて、
しづかに町へと降りてくる。

木かげ、床下、そんなとこ、
朝日が出るまでのぞきやせぬ。

夜はどこからやつてくる。

床の下から、木かげから、
むくりむくりと起きて來て、
ぬつと大きく軒に立つ。

夕日は沈んでしまつても、
雲の端へはとどきやせぬ。


『金子みすゞ全集』Ⅱ空のかあさま p110


6連12行(1行、 3行、 2行、 1行、 3行、 2行) 

12。 13、12、13。 12、13。 12。 12、12、12。 13、12。


7「秋」や9「秋は一夜に」で季節の訪れが表現されたように、ここでは朝と夜の訪れが擬人化で謳われています。

秋の訪れが誰にも知られずひっそりとして、気づいたらそこにあったと気づかれるものであったのに比べて、朝と夜は「空を駆け抜け」たり「むくりむくりと起き」たり、動的に表現されています。

季節に変化は日単位であるのに対し、朝・夜の変化は分単位であることが意識されていると言うのは、考えすぎでしょうか。

どうやらみすゞさんにとって朝も夜も「こかげ」や「床下」あたりからやってくるようです。

しかも、朝は上空から降りてくるもの、夜は地中から上ってくるもののようです。

自然の事物の擬人化は、みすゞさんの詩では頻繁に出てきます。

詩の表現の手法というよりも、みすゞさんにとって自然の中の諸事象は、生物・無生物を問わず全てが生きづいたもの、自分と対等なものとして映っていたように思われます。




名詞: 朝、 どこ、 東、 山、 空、 町、 木かげ(2回)、 床下、 とこ、 朝日、 夜、 床、 下、 軒、 夕日、 雲、 端

形容詞: 大きい  

動詞: やってくる(2回)、 のぞく(2回)、 駈けぬける、 降りる、 出る、 起きる、 来る、 立つ、 沈む、 とどく



通算登場回数  
今回登場      (お)空:6作目    雲:3作目 
今回登場なし   青(青い):5作目 赤(赤い):5作目  白(白い):5作目  花:3作目  海:2作目   (お)父さま:2作目  母さん(お母さま):2作目   (お)舟・船:2作目  波:1作目  



参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年


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フェルメール作品解説探訪 ⑧≪小路≫

フェルメール
03 /29 2019
⑧≪小路≫


・所蔵先:アムステルダム国立美術館

・制作年:1658〜59

・サイズ: 53.5×43.5cm


[諸解説]
・建物本体はやや暗めの茶系で彩色され、煉瓦をつなぐモルタルがとぎれとぎれの白色系の細い線で描き入れられている。

・経年による汚れや補修の跡は、煉瓦部分の色を変化させて表現している。

・鎧戸や歩道の凸凹は、彩色を何層か重ねて再現している。

・鎧戸の下にベンチがあり、人が背中をこすりつけた跡の汚れも表現されている。

・水平・垂直・斜行の直線を主体とした線が画面を構成している。

・X線写真では、右上部の鎧戸が半ば開いた状態で描かれていた。

・赤外線写真では、画面左の開いた戸口の部分に、うずくまる人の影が映る。

・デルフトのどこを描いた絵なのかについては、諸説ある。可能性がある場所として以下の3か所がある。
①アウエ・ランゲンディク通り25番地:妻カタリーナ・ボルネスの実家の隣。
②フォルデルスフラハト通り19~20番地。
③フォルデルスフラハト通り21番地:フェルメールの両親が経営していた旅館「メーヘレン亭」の裏。15世紀に老人養護施設があった。

・1650年頃からデルフトで都市景観画というジャンルが好まれ始め、フェルメールのパトロンと考えられているピーテル・ファン・ライフェンがフェルメールに制作を依頼したと考えられている。




画像サイト
西洋絵画、西洋美術の画像・壁紙:
http://www.salvastyle.com/menu_baroque/vermeer.html


参考書籍
『週刊グレート・アーティストNo.70 フェルメール』 同朋舎出版 1995年
『週刊美術館 8 フェルメール』 小学館 2000年
『フェルメール全点踏破の旅』 朽木ゆり子著 集英社新書 2006年
『フェルメール論ー神話解体の試みー 増補新装版』 小林頼子著 八坂書房 2008年
『芸術新潮 やっぱり気になるフェルメール』 2008年9月
『フェルメール 光の王国』 福岡伸一著 2011年
『限定版 フェルメール全作品集』 小林頼子著 小学館 2012年
『魅惑のフェルメール全仕事』 TJMOOK 2015年1月
『フェルメール展公式ガイドブック』 AERA MOOK 2018年
『フェルメール展』図録 2018年


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各国個人的調査 ウルグアイ東方共和国

国情報
03 /28 2019
ウルグアイ東方共和国(烏拉乖 烏拉圭 宇柳貝 宇柳具)


0.国名・国旗
国名
西部を流れるウルグアイ川に由来する。「ウルグアイ」の原義はグアラニー語で「uru(ウルという鳥の)gua(飛ぶ)y(川)」とされる。正式国名の「東方」はウルグアイ川東岸地域をかつてバンダ・オリエンタル(東方州)と呼んだことに由来する。

国旗
比率 2:3  1830年制定

支援国アルゼンチンの国旗をモデルに作られた。

太陽:「五月の太陽」

白・青合わせて9本の帯は独立当時の9つの州を表している。


1.面積
17.6万㎢(日本の約1/2)


2.人口・人口密度
343万人(2016年)

19.5人/㎢


3.首都
モンテビデオ


4.言語
スペイン語


5.宗教
キリスト教(カトリック)が多数。


6.略史
1516年:スペイン人フアン・ディアス・デ・ソリスが探検。
18世紀:スペインの植民地となる。
1825年:独立宣言
1903年:バジェ大統領、民主主義政策・社会保障整備を推進。
1973年:軍政が敷かれる。
1985年:サンギネッティ大統領就任(民政移管)。


7.通貨
ペソ


8.政治
共和制
元首は大統領(任期5年、連続再選禁止)

議会:二院制 (任期5年)


9.経済
主要産業 :農牧業、製造業(特に商品加工)、サービス業


10.世界遺産(2件)
文化遺産(2件)
・コロニア・デル・サクラメントの歴史的街並み(1995)
スペインとポルトガルの争いの歴史が刻まれた港町
http://whc.unesco.org/ja/list/747#top

・フライ・ベントスの産業景観(2015)
食肉処理工場の発展とともに築かれた景観
http://whc.unesco.org/ja/list/1464#top


11.その他
・バジェ大統領時代、スイスをモデルにした社会経済改革が行われ、ウルグアイは南米で唯一の福祉国家となり、「南米のスイス」と呼ばれた。


参考サイト
外務省:https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ukraine/data.html#section1


参考書籍
『国旗・国歌の世界地図』21世紀研究会編 文春新書 2008年
『今がわかる時代がわかる 世界地図 2016年版』 成美堂出版
『世界遺産大事典』上・下 マイナビ出版 2016年
『なるほど知図帳世界 2017』 昭文社
日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社


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著者自身による書中評 および 私のこの一文

書評
03 /27 2019
『灘中 奇跡の国語教室 橋本武の超スローリーディング』
黒岩 祐治 著 中公新書ラクレ 2011年

・「私の『恩師の条件』を読みたいという方々から「書店で入手できない」と苦情の声が届くようになった。版元の事情で絶版状態だったが、ネットを見ると古本価格の値段も高騰している。そこでこのたび同書の題名をあらため、若干の追加修正をほどこしたうえで、新書版として刊行する運びになった。」p4

・「私には胸を張って自分の「恩師」と言える先生がいる。中学・高校の六年間にわたって国語を教えていただいた橋本武先生である。そのユニークな国語教育とそれにかけた先生の思い、その人間像を紹介しながら、「恩師の条件」とは何かを考えていきたい。それが、教師のみなさんに何らかの指針となり、日本の教育を立て直す一里塚になることを願ってやまない。」p32




・・・私のこの一文・・・
「教育の中味を薄くし、時間をゆるくして、学力の低い子供にレベルを合わせて、甘やかせて、それで「心のゆとり」が得られると、文部官僚は本当にそう思ったのだろうか。」p191



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Toward 「Qさま!!」 セルフトレーニング87. 復習(2017.3.20) 

Toward 「Qさま‼︎」
03 /26 2019
2017.3.20 現役東大生・京大生が選んだ「日本のスゴイ建物VS世界のすごい建物」


Q1:似た意味の言葉
地獄に仏


Q2:日本一
①長い川
②深い湖
③深い湾


Q3:聖人の認定を受けた人物
①百年戦争で活躍
②ローマ法王
③カノッサの屈辱


Q4:日本の橋の長さベスト5


Q5:万里の長城と同じ年に登録された世界遺産
①オーストラリア
②ブラジル
③敦煌市


Q6:「途方もない時間」が語源で「気乗りがしないこと」の意味をもつ語




A1
渡りに船、 大海の木片


A2
①信濃川 367km
②田沢湖 423m
③駿河湾 2500m


A3
①ジャンヌ・ダルク
②ヨハネ・パウロ二世
③グレゴリウス七世



A4
①アクアブリッジ 4384m
②明石海峡大橋 3911m
③第一北上川橋梁 3868m
④関西国際空港連絡橋 3750m
⑤伊良部大橋 3540m


A5
①エアーズロック
②ブラジリア
③莫高窟


A6
億劫



1位 法隆寺          サグラダ・ファミリア
2位 東大寺          万里の長城
3位 東京スカイツリー    ピサの斜塔
4位 東京駅          エッフェル塔
5位 東京タワー        ピラミッド
6位 厳島神社         モン・サン・ミッシェル
7位 原爆ドーム        オペラハウス
8位 姫路城          アンコール・ワット
9位 海ほたる         ブルジュ・ハリファ
10位 代々木体育館      凱旋門
12位 錦帯橋          コロッセオ
13位 熊本城          ノイシュバンシュタイン城
14位 黒部ダム         サンピエトロ寺院
15位 出雲大社         パナマ運河



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下の句50音順にたどる百人一首 No.45 つ

百人一首
03 /25 2019
No.45(No37)
下の句
つ・らぬきとめぬたまぞちりける
(つらぬきとめぬ 玉ぞ散りける)

上の句
しら・つゆにかぜのふきしくあきののは
(白露に 風の吹きしく 秋の野は)


意味
草の上で白く輝く露に、風がしきりに吹きつける秋の野では、まるで糸で貫き留めていない白玉が、散り乱れているように見えることだ。


出典
『後撰集』巻6秋中・308
「延喜御時歌召しければ」


作者
文屋朝康
生没年不詳。平安前期の歌人。
文屋康秀の子と言われている。


備考
・「吹きしく」の「しく」は「頻く」で、「たび重ねて頻繁に」の意。

・「玉」は「白露」を真珠に見立てたもの。真珠のことを古くは「白玉」と言った。

・風に吹かれ散る露の動的な美しさが視覚的にとらえられているところに、この歌の新鮮味がある。

・詞書の「延喜御時」は醍醐天皇の時代だが、「寛平御時后宮歌合」にこの歌があるので、作られたのは宇多天皇の時代と考えられる。


参考書籍
『百人一首一夕話 上・下』 尾崎雅嘉著 岩波文庫
『ビジュアル版 日本の古典に親しむ② 百人一首』 大岡信著 世界文化社
『別冊太陽 百人一首への招待』 吉海直人監修 平凡社
『解説 百人一首』 橋本武著 ちくま学芸文庫


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『夕陽妄語』を読むために 「宗教の役割」

加藤周一
03 /24 2019
「宗教の役割」 1991.11.20


・安心立命:儒教で、人力を尽くしてその身を天命に任せ、どんな場合にも落ち着いていること。仏教では、「あんじんりゅうみょう」と訓み、主に禅宗で、悟りの境地に到達して真の心の安らぎを得ること。

・ソロモン:イスラエル統一王国3代目の王 。在位、前961ころ~前922ころ。ダビデ王の子。通商を振興して経済を発展させ、エルサレムに神殿や宮殿を建設、いわゆる「ソロモンの栄華」を現出した。ソロモンはヘブライ語 で「平和な人」の意。旧約聖書 (列王紀上1~11章、歴代志上1~9章) に言及される。

・シャルル・ペギー(Charles Pierre Péguy 1873〜1914):フランスの詩人・思想家・作家。A.ドレフェス大尉の失脚事件で活躍するが、事件が政治的妥協に終わると社会党を脱退する。1900年「半月手帖」誌を刊行し、カトリック的立場から、感動的な詩、エッセイなどを発表。また、同誌はロマン・ロラン、シュアレスらに作品公表の場として提供する。

・釈尊(前463頃〜前383頃):釈迦。仏教の開祖。釈迦牟尼 ともいう。釈迦は種族名 Śākyaの、牟尼は聖者を意味する muniの音写。釈尊は釈迦牟尼世尊の略称と考えられる。29歳のとき意を決して出家。修行の末、35歳頃ブッダガヤーの菩提樹の下で悟りを開き仏陀 すなわち覚者となった。

・親鸞(1173〜1263):鎌倉初期の僧。浄土真宗の開祖。日野有範の子。比叡山で天台宗などを学び、29歳のとき法然に師事し、他力教に帰した。師の法難に連座して越後に流され、その後、常陸地方の教化を志し、浄土真宗を開き、阿弥陀による万人救済を説いた。著書『教行信証』。



参考書籍
日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社
デジタル大辞泉 小学館
ブリタニカ国際大百科事典 ブリタニカ・ジャパン
精選版 日本国語大辞典


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仏像学習 66.国宝仏像各論33 阿弥陀如来坐像(広隆寺)

仏像
03 /23 2019
仏像学習 66.国宝仏像各論33 阿弥陀如来坐像(広隆寺)

所在:広隆寺 講堂

指定:1952年

制作年:840年頃

制作法:木造(乾漆併用) 漆箔

像高:261.5cm

像容
・胸の前で両手を向い合せた転法輪印(説法印)を結ぶ。

・右足を上にして結跏趺坐する。

・螺髪の一部・白毫・表面の漆箔が後補されている。



備考
・極楽浄土で説法をする阿弥陀如来を表したもの。

・インド・中国・日本の8世紀前半までは転法印輪は、左手の甲と右手の掌を正面に向けるものであったが、8世紀後半から両手を向い合せた新しい印相が現れ、本像もその早い例。

・7~8世紀の阿弥陀像では、右足を上にする形と、左足を上にする形の両形があるが、9世紀初め空海が正純密教を伝えると、インド的な仏像形式が流入し、多くの仏像が右足を上にする形を示すようになった。


仏像リンク
https://butsuzolink.com/koryuji/#i-9


参考書籍
週刊朝日百科 日本の国宝015 1997年


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金子みすゞ私的鑑賞 15 朝蜘蛛

金子みすゞ
03 /22 2019
15 朝蜘蛛


朝から朝蜘蛛さがつたし、
朝からなんだかうれしいし、
きつと、今日こそ來るでせう。

お母さまも知らないが、
生きて、遠くに棲んでゐる、
お父さまのおむかへが。

すぐに、私は髪結うて、
好きな手毬のおべべ着て、
赤いお馬車に乗るでせう。

赤いお馬車のゆくみちは、
白い芒のみちでせう、
野菊もちひさく咲いてませう。

旗のたつてる小(ち)さい村、
鐘の鳴つてる寺のまへ、
しめつた、暗い森のなか。

そして、夕燒消えるころ、
むかうのむかうに城のよな、
大きなお家がみえるでせう。

お父さまは待ちきれず、
門から駆けてくるでせう、
私も馬車から飛ぶでせう。

私は「父さま」と呼ぶでせう、
いやいや、黙つてゐるでせう、
あんまり、あんまり、嬉しくて。

朝からなんだかうれしいし、
朝から朝蜘蛛さがつたし、
けふは、何かがあるでせう。



『金子みすゞ全集』Ⅲさみしい王女 p111


9連27行(3行、3行、 3行、 3行、 3行、 3行、 3行、 3行、 3行) 

13、13、12。  11、12、11。   12、12、12。 12、12、13。 12、12、12。 12、13、13。 11、12、13。 13、13、13。 13、13、12。


行数27は、みすゞさんの詩の中では4番目に多いものです(1番は「お佛壇」、「男の子なら」の32行)。

「朝蜘蛛」は福を持ってくる縁起がいいものと言われていますが、みすゞさんの時代にもすでにそう言われていたようです。

その縁起がいいものとしてみすゞさんが取り上げたのが、「お父さまのおむかへ」でした。

2の「赤いお舟」でも触れましたが、みすゞさんにとっての「お父さま」像の一つは、遠い異国にいていつか自分を迎えに来てくれる存在であったことは、間違いありません。

3歳の時に異国の地で父が亡くなっているのですから、当然といえば当然ですが、一般に考える父親像とは異質です。

みすゞさんの詩に登場する「母」が、愛情の対象としての一般的な母親像とは異なることと、違った意味で共通しています。

文学作品に、その作者の生い立ちが色濃く反映されていることが読み取れる例の一つと言えると思います。




名詞: 朝(4回)、 朝蜘蛛(2回)、 今日(けふ)(2回)、 お母さま、 お父さま(3回)、 おむかへ、 私(3回)、 髪、 手毬、 おべべ、 (お)馬車(3回)、 みち(2回)、 芒、 野菊、 旗、 村、 鐘、 てら、 まへ、 森、 なか、 夕燒、 ころ、 むかう(2回)、 城、 お家、 門、 何か

形容詞: うれしい(嬉しい)(3回)、 赤い(2回)、 白い、 ちひさい(小さい)(2回)、 暗い、 大きい、  

動詞: さがる(2回)、 來る(くる)(2回)、 知る、 生きる、 棲む、 結ふ、 着る、 乗る、 ゆく、 咲く、 たつ、 鳴る、 消える、 みえる、 待つ、 駆ける、 飛ぶ、 呼ぶ、 黙る、 ゐる、 ある



通算登場回数  
今回登場     赤(赤い):5作目  白(白い):5作目   (お)父さま:2作目  母さん(お母さま):2作目
今回登場なし   (お)空:5作目  青(青い):5作目  花:3作目  海:2作目  雲:2作目    (お)舟・船:2作目  波:1作目  



参考書籍
『新装版 金子みすゞ全集Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ』 JULA出版局 1984年
『童謡詩人金子みすゞの生涯』 矢崎節夫 著 JULA出版局 1993年
『別冊太陽 生誕100年記念 金子みすゞ』 平凡社 2003年
『没後80年 金子みすゞ ~みんなちがって、みんないい。』 矢崎節夫 監修  JULA出版局 2010年
『金子みすゞ 魂の詩人』 増補新版 KAWADE夢ムック 文藝別冊 河出書房新社 2011年
『永遠の詩1 金子みすゞ』 矢崎説夫 選・鑑賞 小学館eBooks 2012年
『金子みすゞ作品鑑賞事典』 詩と詩論研究会編 勉誠出版 2014年


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