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漱石・読んだふり 『坊っちゃん』 三

漱石
05 /28 2020
漱石・読んだふり 『坊っちゃん』 三


登場人物(登場順)
・坊っちゃん

・山嵐

・宿の亭主

・学校の生徒



ストーリー
・教師の仕事が始まる

・2時間目に生徒から「あまり早くて分からんけれ、もちっと、ゆるゆる遣って、おくれんかな、もし」と言われる
 
・2時間目が終わった時、生徒ができそうもない幾何の問題を質問してきたので、「何だかわからない、この次教えてやる」と返事をしたら、生徒がわあと囃す

・1日目の仕事が終わり帰る際、山嵐に3時まで拘束されることに不満を言うと、「君あまり学校の不平を云うと、いかんぜ。云うなら僕だけに話せ、随分妙な人も居るからな」と言われる

・下宿に帰ると、宿の亭主から書画骨董の勧誘をされ、断る

・一週間規則通り働く

・宿の亭主の骨董(印材、華山の掛物、端渓)勧誘が続く

・ある日の晩、蕎麦屋で天麩羅蕎麦を四杯食べる。蕎麦屋には学校の生徒が三人いた。

・翌日教室にいくごとに、天麩羅蕎麦を冷やかす内容が黒板に書いてある

・四日後、団子屋で団子を食べる

・翌日、黒板に「団子ニ皿七銭」と書いてある

・毎日温泉に持っていく「赤手拭」が生徒の評判になる

・毎日上等の温泉に入るのは贅沢だと生徒に言われる

・黒板に「湯の中で泳ぐべからず」と書いてある

・骨董責が続く



歴史的人物・事柄
・「華山には二人ある、一人は何とか華山で、一人は何とか華山ですが、この幅はその何とか華山の方だ」



語句・表現
・天目:茶の湯で使う、すり鉢形の抹茶茶碗。元は茶葉の産地だった天目山一帯の寺院で用いられた鉄釉をかけて焼かれた陶器茶碗のこと。



読みづらい漢字
・篦棒(べらぼう)

・捏(こ)ねる




重要と思われる文
・「おれは何事によらず長く心配しようと思っても心配が出来ない男だ。」

・「ほかの所は何を見ても東京の足元にも及ばないが温泉だけは立派なものだ。」



参考図書
『漱石全集』第三巻 岩波書店 1978年
『漱石大全』Kindle版 第3版 古典教養文庫
『カラー版新国語便覧』 第一学習者 1990年
『漱石とその時代』1~3 江藤淳 著 新潮選書
『決定版 夏目漱石』 江藤淳 著 新潮文庫
『夏目漱石を読む』 吉本隆明 著 ちくま文庫
『特講 漱石の美術世界』 古田亮 著 岩波現代全書


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漱石・読んだふり 『坊っちゃん』 ニ

漱石
05 /16 2020
漱石・読んだふり 『坊っちゃん』 ニ


登場人物(登場順)
・坊っちゃん

・船頭

・小僧

・筒っぽうを着た男

・小使

・車夫

・山城屋の下女

・校長

・教頭

・英語の教師(古賀)

・数学の教師(堀田)

・漢学の教師

・画学の教師

・下宿の主人

・下宿の主人の女房



ストーリー
・赴任地に汽船から降りる

・赴任中学校に寄り、すぐ宿屋(山城屋)に入る
 
・湯に入り、飯を食べ、うとうとして清の夢を見る

・朝食の時下女に茶代を渡し、中学校へ出かける

・校長室に入り辞令を受け取る

・校長の談義を聞いて嫌になり辞令を返そうとするが、受け取られない

・他の教員に一人ずつ紹介される

・教頭・英語の教師(古賀)・数学の教師(堀田)・漢学の教師・画学の教師の描写

・町を散策

・山城屋で清へ手紙を書く

・山嵐が山城屋に来て下宿の周旋をする

・下宿を見に行く

・山嵐が坊っちゃんに氷水を奢る



語句・表現
・艀(はしけ):本船から岸壁へ、岸壁から岸壁へと貨物の移動等に使用される輸送船

・師表:世人の模範となること、人。



重要と思われる文
・今日学校へ行ってみんなにあだなをつけてやった。校長は狸、教頭は赤シャツ、英語の教師はうらなり、数学は山嵐、画学はのだいこ。


参考図書
『漱石全集』第三巻 岩波書店 1978年
『漱石大全』Kindle版 第3版 古典教養文庫
『カラー版新国語便覧』 第一学習者 1990年
『漱石とその時代』1~3 江藤淳 著 新潮選書
『決定版 夏目漱石』 江藤淳 著 新潮文庫
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漱石・読んだふり 『坊っちゃん』 一

漱石
05 /04 2020
漱石・読んだふり 『坊っちゃん』 一


登場人物(登場順)
・坊っちゃん

・同級生の一人

・おやじ(父親)

・勘太郎

・大工の兼公

・肴屋の角

・母

・兄

・清

・清の甥



ストーリー
・子供の頃の無鉄砲な行動
 ・学校の二階から飛び降りる
 ・右手の親指の甲をナイフで切る
 ・栗を盗みに来た勘太郎を四つ目垣から突き落とす
 ・大工の兼公と肴屋の角を連れて茂作の人参畠をあらす
 ・古川の持つ田圃の井戸を埋める

・家族から可愛がられなかった話

・母が死ぬ

・清に可愛がられた話
 ・「あなたは真っ直でよいご気性だ」と言われる
 ・金鍔・紅梅焼・鍋焼饂飩を買ってくれた
 ・靴足袋・鉛筆・帳面・三円を貰う

・父が死ぬ

・兄が就職し九州に行く

・清が甥の厄介になる

・物理学校に入学、3年後卒業

・物理学校の校長から四国の中学校の数学教師の職を斡旋され、受ける

・清のところへ折々行ってもてなしてもらう

・四国へ出発する日、清が準備を手伝い、停車場まで見送りに来る



語句・表現
・尻を持ち込む:関係者に問題を持ち込み責任を問い、解決を迫る。

・いい面の皮:自分または他人が割の悪い目にあったとき、自嘲的にあるいは同情して言う語。



読みづらい漢字
・足搦(あしがら)
・款待(もて)なす



重要と考える文
・「親譲りの無鉄砲で小共の時から損ばかりしている。」

・「この婆さんがどういう因縁か、おれを非常に可愛がってくれた。」

・「清はおれがうちでも持って独立したら、一所になる気でいた。どうか置いて下さいと何遍も繰り返して頼んだ。おれも何だかうちが持てるような気がして、うん置いてやると返事だけはしておいた。」



疑問
・菜園の栗はなぜ「命より大事」なのか。



参考図書
『漱石全集』第三巻 岩波書店 1978年
『漱石大全』Kindle版 第3版 古典教養文庫
『カラー版新国語便覧』 第一学習者 1990年
『漱石とその時代』1~3 江藤淳 著 新潮選書
『決定版 夏目漱石』 江藤淳 著 新潮文庫
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漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑪ 十一

漱石
04 /22 2020
漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑪ 十一


時期
明治38年
秋の一日



登場人物(登場順)
・吾輩

・迷亭

・独仙

・主人(苦沙味)

・寒月

・東風

・細君

・多々良三平



ストーリー
・主人の家に、迷亭・寒月・東風・独仙がいる状景。

・床の間の前で迷亭と独仙が碁

・座敷の入り口で主人、寒月、東風が話をする。
 ・鰹節を鼠が嚙ったこと
 ・寒月がヴァイオリンを習い出した顚末
 ・寒月が既に結婚した話

・迷亭と独仙が話に加わる
 ・今の人の自覚心についての議論
 ・将来は自殺で死ぬのが当たり前になるという議論
 ・迷亭の結婚不可能論
 ・主人が女性の悪口を取り上げた本を紹介する

・多々良三平が主人宅を訪れ、金田の娘と結婚することを報告

・吾輩、皆の残したビールを飲み、酔っ払って甕の中に落ちる



言及される歴史上の人物・事項
・『列仙伝』
「宛然たる『列仙伝』中の人物だね」p434

・『楚辞』
「惸独(けいどく)にして不群なりと『楚辞』にあるが寒月君は全く明治の屈原だよ」p445

・ウェルテル
「それじゃ今世紀のウェルテルさ。」p445

・子規
「僕の俳句における造詣といったら、故子規子も舌を捲いて驚ろいた位のものさ」p464

・小督(こごう)の局
「論より証拠音が出るんだから、小督の局も全くこれでしくじったんだからね。p466

・サンドラ・ベロ二
「僕は男子のサンドラ・ベロ二が東方君子の邦に出現するところかと思って、今が今まで真面目に拝聴していたんだよ」p476

・『万朝』
「現に『万朝』なぞでは花聟花嫁という表題で両君の写真を紙上に掲ぐるの営はいつだろう、いつだろうって、うるさく僕の所へ聞きにくる位だ。」p478

・ヘンレー、スチーヴンソン
「ヘンレーという人がスチーヴンソンを評して彼は鏡のかかった部屋に入って、鏡の前を通るごとに自己の影を写して見なければ気が済まぬほど瞬時も自己を忘るる事の出来ない人だと評したのは、よく今日の趨勢を言いあらわしている。」p482

・カーライル
「カーライルが始めて女皇に謁した時、宮廷の礼に嫻(なら)わぬ変物の事だから、先生突然どうですといいながら、どさりと椅子へ腰を卸した。」p484

・ベーコン
「ベーコンの言葉に自然の力に従って始めて自然に勝つとあるが、今の喧嘩は正にベーコンの格言通りに出来上ってるから不思議だ。」p485

・アーサー・ジョーンズ
「アーサー・ジョーンズという人のかいた脚本のなかにしきりに自殺を主張する哲学者があって……」p488

・元信
「それから僕と客の間に二、三の問答があって、とど僕が狩野法眼元信の幅を六百円但し月賦十円払込の事で売渡す」p492

・メレジス、ジェームス
「現今英国の小説家中で尤も個性のいちじるしい作品にあらわれた、メレジスを見給え、ジェームスを見給え。」p499

・ニーチェ
「ニーチェが超人なんか担ぎ出すのも全くこの窮屈のやり所がなくなって仕方なしにあんな哲学に変形したものだね。」p500

・ホーマー、『チェヴィ・チェーズ』
「だからホーマーでも『チェヴィ・チェーズ』でも同じく超人的な性格を写しても感じがまるで違うからね。」p500

・孔子
「昔は孔子がたった一人だったから、孔子も幅を利かしたのだが、今は孔子が幾人もいる。」p500

・タマス・ナッシ
「タマス・ナッシといって十六世紀の著書だ」p501

・アリストートル
「アリストートル曰く女はどうせ碌でなしなれば、嫁をとるなら、大きな嫁より小さな嫁をとるべし。」p502

・ダイオジニス
「次にはダイオジニスが出ている。」p502

・ピサゴラス
「ピサゴラス曰く天下に三の恐るべきものあり曰く火、曰く水、曰く女」p502

・ソクラチス
「ソクラチスは婦女子を御するは人間の最大難事といえり。」p503

・デモスセニス
「デモスセニス曰く人もしその敵を苦しめんとせば、わが女を敵に与うるより策の得たるはあらず。」p503

・セネカ、マーカス・オーレリアス、プロータス
「セネカは婦女と無学を以て世界における二大厄とし、マーカス・オーレリアスは女子は制御しがたき点において船舶に似たりといい、プロータスは女子が綺羅を飾るの性癖を以てその天稟の醜を蔽うの陋策に本づくものとせり。」p503

・ヴァレリアス
「ヴァレリアスかつて書をその友某におくって告げて曰く天下に何事も女子の忍んで為し得ざるもにあらず。」p503

・カーテル・ムル
「自分ではこれほどの見識家はまたとあるまいと思うていたが、先達てカーテル・ムルという見ず知らずの同族が突然大気燄を揚げたので、ちょっと吃驚した。」p511




語句・表現
・無絃の素琴:弦が張ってない琴。陶潜は琴ができなかったが、弦のない琴を持っていて、酒を飲むとその琴を撫したという、梁昭明太子の「陶靖節伝」などに見える故事による。自然の微妙な調べのたとえにも用いる。

・彘肩(ていけん):豚の子の肩肉

・薫風南より来って、殿閣微涼を生ず:唐の文宗皇帝が、「人は皆炎熱えんねつに苦しむ 我は夏日かじつの長き事を愛す」と起承の句を作ったのを受けて、柳公権が「薫風自南来 殿閣微涼を生ず」と続けたとされる詩の一節。大慧禅師がこの語を聞いて大悟したと言われている。

・一剣天に倚って寒し:楠正成が湊川で足利尊氏の大軍を迎えようとしたとき、禅院の僧に「人の生死の岐路に立った時はいかにしたらいいでしょうか」と尋ねた際の僧の返事「両頭倶(とも)に截断すれば、一剣天に倚つて寒し」の中の言葉。
「両頭(2つの価値観)をどちらも断ち切って、一剣(自分の気持ち)に従い進むことが、天に倚つて寒し(天の理に従う正しい道)である」の意。

・生死事大(しょうじじだい):生死を繰り返す六道輪廻を捨て去って悟りを開くには、人間として生きている今しかなく、今こそもっとも大事なときであるという意味。

・輸贏(しゅえい):勝ち負け。「輸」は負ける、「贏」は勝つ意。「 ゆえい」とも読む。

・行く春や重たき琵琶のだき心:蕪村の句。

・肝胆を砕く:懸命に物事を行う。心を尽くす。

・鋒鋩(ほうぼう):①.刃物のきっさき。ほこさき。 ②.相手を批判・攻撃する鋭い言辞・気性のたとえ。

・琳琅璆鏘(りんろうきゅうそう):琳琅は美しい玉の名、璆鏘は玉や金属が触れ合って美しく鳴り響くさま。

・露地の白牛(ろじのびゃくぎゅう):一切の煩悩を滅した清浄な心境。露地は禅語で「いっさいの煩悩からはなれた境地」、白牛は「一点の汚染もない清浄な牛」で、無垢なことをたとえる。「びゃくご」とも読む。

・大死一番:一度死んだつもりになって奮起すること。

・嫦娥:古代の伝説上の人物で、月に住む仙女。

・鴛鴦歌:夫婦仲睦まじいのを讃える歌。

・烏金:日歩で借りて、借りた翌日にすぐ返すという条件の高利の金。翌朝、烏が鳴くまでに返さなければならない金の意。

・父母未生以前:自分はもちろんのこと、父母もまだ生まれない前の意。

・下愚は移らず:上知と下愚とは移らず 『論語』陽貨にある言葉。最上の知者は悪い境遇にあっても堕落せず、最下の愚者は、どんなによい境遇にあっても向上しない。

・鴻溝(こうこう):大きなみぞ。転じて、大きな隔たり。

・卒塔婆小町:能楽作品。小野小町を主人公とする「小町物」の代表的作品。

・応無所住 而生其心(おうむしょじゅう にしょうごしん):「まさにじゅうするところなくして、しこうしてそのこころをしょうずべし」一切の固定的な立場や観念や思いなどを捨て去り、心に一切のこだわりがないようにせよという意。

・鉄牛面の鉄牛心、牛鉄面の牛鉄心:鉄でできた牛のように、テコでも動かない心。

・燕雀焉んぞ大鵬の志を知らんや:「燕雀(えんじゃく)安んぞ鴻鵠(こうこ)の志を知らんや」燕や雀のような小さな鳥には、大鵬のような大きな鳥の志すところは理解できない。小人物には大人物の考えや志がわからない、というたとえ。

・無何有郷:作為のない自然のままの世界。『荘子』逍遥遊篇にある理想郷。




読みづらい漢字
・岫(しゅう)
・冉冉(ぜんぜん)たる
・調戯(からか)う
・釜中(ふちゅう)の章魚(たこ)
・人迹(じんせき)
・紙鳶(たこ)
・斃(たお)す




今日にも通用する内容
・「人間とは強いて苦痛を求めるものであると一言に評してもよかろう。」p436

・「どうせ夫婦なんてものは闇の中で鉢合せをするようなものだ。」p479

・「今の人はどうしたら己れの利になるか、損になるかと寝ても醒めても考えつづけだから、勢探偵泥棒と同じく自覚心が強くならざるを得ない。」p483

・「無教育の青年男女が一時の劣情に駆られて、漫(みだり)に合卺(ごうきん)の式を挙ぐるは悖徳(はいとく)没倫の甚しき所為である。」p498



面白い表現、言い換えを畳み込む表現
・「無絃の素琴を弾じさ」「無線の電信をかけかね」p434

・「「ずうずうしいぜ、おい」「Do you see the boy か」p437

・「烈しい秋の日が、六尺の障子へ一面にあたって、かんかんするには癇癪が起りました。上の方に細長い影がかたまって、時々秋風にゆすれるのが眼につきます」p452 この後同じ内容が4回繰り返される。




「全然」が否定語と呼応しない表現
・「「先生私はその説には全然反対です」」p498




参考図書
『漱石全集』第一巻、第二巻 岩波書店 1978年
『吾輩は猫である』 岩波文庫
『漱石大全』Kindle版 第3版 古典教養文庫
『カラー版新国語便覧』 第一学習者 1990年
『漱石とその時代』1~3 江藤淳 著 新潮選書
『決定版 夏目漱石』 江藤淳 著 新潮文庫
『夏目漱石を読む』 吉本隆明 著 ちくま文庫
『特講 漱石の美術世界』 古田亮 著 岩波現代全書


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漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑩ 十

漱石
01 /21 2020
漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑩ 十


時期
明治38年
「九」の翌日



登場人物(登場順)
・吾輩

・細君

・主人(苦沙味)

・御三

・とん子(長女)

・すん子(次女)

・坊ば(三女)

・八っちゃん(車屋の子供)

・車夫

・雪江(主人の姪)

・古井武右衛門(主人が受け持つ生徒)

・寒月



ストーリー
・細君が主人を起こすため声をかけた後掃除をする。

・吾輩が朝食の催促のため御三に向かって鳴く。

・とん子、すん子、坊ばの洗面状景。

・細君が主人を再度起こす。

・寝室の戸棚に貼ってある反故紙の内容。

・とん子、すん子、坊ばの朝食状景。

・雪江と細君の会話。
 雪江が学校で聞いた八木独占の話(石地蔵について)。
 金田富子が艶書をもらった話。

・主人と雪江の会話
 主人が買ってきた花活について。
 保険の話。

・古井武右衛門が艶書の件を相談するため主人を訪れる。

・寒月と主人の話。
 金田富子への艶書の話。
 寒月が主人を上野へ虎の鳴き声を聞きに誘う。



言及される歴史上の人物・事項
・ベトヴェン
「自分ではベトヴェンのシンフォニーにも劣らざる美妙の音と確信しているのだが御三には何らの影響も生じないようだ。」p376

・伊藤博文
「第一に眼にとまったのが伊藤博文の逆か立ちである。」p383

・岩崎男爵
「今の世でいうと岩崎男爵のような顔をするんですとさ。」p398

・『女大学』
「「ちと『女大学』でも読むがいい」」p408

・ナポレオン
「事実はそうであるかも知れないがちょっと見るとナポレオンのようで頗る偉観である。」p412

・馬琴、『八犬伝』
「正直ですら払底な世にそれ以上を予期するのは、馬琴の小説から志野や小文吾が抜けだして、向う三軒両隣へ『八犬伝』が引き越した時でなくては、あてにならない無理な注文である。」p422



語句・表現
・告朔の餼羊:古くからの習慣や年中行事は、虚礼でも害がなければ儀式だけでも残すのがよいとした孔子の故事。また、実質がなくなり、形式ばかりが残っていることのたとえ。『論語』八佾(はちいつ)の故事から。

・闃然(げきぜん):ひっそりと静まりかえっているさま。人気がなくさびしいさま。

・羅織虚構:無実の罪を捏造すること。「羅織」は無罪の人を捕まえて、罪を作り上げること。「虚構」は事実のように捏造すること。

・蒟蒻閻魔:人前では弱く、内で威をふるう人。内弁慶。

・招魂社:幕末・明治維新の激動期国家のために殉難した人を慰霊する意味で明治新政府が設立した神社。1939年護国神社に改称された。

・灼然炳乎(しゃくぜんへいこ):非常にはっきりとしている様子。

・箝束:自由のきかないようにすること。束縛すること。

・勧工場:明治・大正時代、多くの商店が一つの建物の中で種々の商品を陳列・販売した所。

・一噱(いっきゃく):ひと笑い。笑いの種にすること。

・這裏(しゃり):このうち。この間。

・矚目(しょくもく):目にふれること。 ある物に目を向けること。



読みづらい漢字
・天探女(あまのじゃく)
・賺(すか)す
・没分暁(わからずや)
・喞筒(ポンプ)



今日にも通用する内容
・「子供の言葉ちがいをやる事は夥しいもので、折々人を馬鹿にしたような間違をいってる。火事で茸が飛んで来たり、御茶のn味噌の女学校へ行ったり、恵比寿、台所と並べたり、或る時などは「わたしゃ藁店(わらだな)の子じゃないわ」というから、よくよく聞き糺して見ると裏店(うらだな)と藁店を混同していたりする。

・「探偵(警察官:引用者注)というものには高等な教育を受けたものがないから事実を挙げるためには何でもする。あれは始末に行かないものだ。願くばもう少し遠慮をしてもらいたい。遠慮をしなければ事実は決して挙げさせない事にしたらよかろう。聞くところによると彼らは羅織虚構を以て良民を罪に陥れる事さえあるそうだ。良民が金を出して雇って置く者が、雇主を罪にするなどときてはこれまた立派な気狂である。」p383

・「銀行家などは毎日人の金をあつかいつけているうちに人の金が自分の金に見えてくるそうだ。役人は人民の召使である。用事を弁じさせるために、ある権限を依仛した代理人のようなものだ。ところが委任された権力を笠に着て毎日事務を処理していると、これは自分が所有している権力で、人民などはこれについて何らの喙を容るる理由がないものだなどと狂ってくる。」p385

・「人間の定義をいうと外に何にもない。ただ入らざる事を捏造して自ら苦しんでいる者だといえば、それで充分だ。」p386

・「世の中を見渡すと無能無才の小人ほど、いやにのさばり出て柄にもない官職に登りたがるものだが、あの性質は全くこの坊ば時代から萌芽しているのである。」p386

・「見ず知らずの人のために眉をひそめたり、鼻をかんだり、嘆息をするのは、決して自然の傾向ではない。人間がそんなに情深い、思いやりのある動物であるとは甚だ受け取りにくい。ただ世の中に生まれて来た賦税として、時々交際のために涙を流して見たり、気の毒な顔を作って見せたりするばかりである。」p422

・「冷淡は人間の本来の性質であって、その性質をかくそうと力めないのは正直な人である。



面白い表現、言い換えを畳み込む表現
・「吾輩はにゃあにゃあと甘えるごとく、訴うるが如く、あるいはまた怨ずるが如く泣いて見た。」p375

・「主人は泣いたり、笑ったり、嬉しがったり、悲しがったり人一倍もする代わりにいずれも長く続いた事がない。よくいえば執着がなくて、心機がむやみに転ずるのだろうが、これを俗語に翻訳してやさしくいえば奥行のない、薄っ片(ぺら)の鼻っ張だけ強いだだっ子である。」p383

・「しかしいざとなるとこの平凡が急に霊妙なる神秘的作用のためにむくむくと持ち上がって奇なもの、変なもの、妙なもの、異なもの、一と口にいえば吾輩猫どもから見て頗る後学になるような事件が至る所に横風にあらわれてくる。」p411

・「巧妙なる、美妙なる、奇妙なる、霊妙なる、麗質を、惜気もなく発揚しおわった。」p411

・「それにもかかわらず敷かない。座布団が手持無沙汰に控えているにもかかわらず敷かない。主人がさあお敷きというのに敷かない。」p414

・「この位遠慮するなら多人数集まった時もう少し遠慮すればいいのに、学校でもう少し遠慮すればいいのに、下宿屋でもう少し遠慮すればいいのに。」p414

・「彼はこの真理のために将来益本当の人間になるだろう。人の心配には冷淡になるだろう。人の困る時には大きな声で笑うだろう。かくの如くにして転嫁は未来の武右衛門君を以て充たされるであろう。」p424



参考図書
『漱石全集』第一巻、第二巻 岩波書店 1978年
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『夏目漱石を読む』 吉本隆明 著 ちくま文庫
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