FC2ブログ

漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑥ 六

漱石
07 /10 2019
漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑥ 六


時期
明治38年夏の土用の過ぎた頃



登場人物(登場順)
・吾輩

・迷亭

・細君

・主人(苦沙味)

・御三

・老梅(迷亭の話の中)

・越智東風



ストーリー
・人間の衣・食・ファッションに対する贅沢への批判。

・迷亭が主人邸を訪れる。
・迷亭と細君で交わす、暑い気候の話
・迷亭が持ってきた形状自在の帽子と14通りに使える鋏を披露する。
・持参した蕎麦を食べる。

・寒月が主人邸を訪れる。
・博士論文の研究内容について。

・迷亭の失恋の話。

・老梅君の失恋話(迷亭の話)。

・昔の人売りの話(迷亭の話)。

・越智東風が主人邸を訪れる。

・寒月が自作の俳劇を皆に披露する。

・東風が自分が書いた詩を披露する(金田富子に捧げる)。

・主人が短文を披露する。



言及される歴史上の人物・事項
・シドニー・スミス
「皮を脱いで骨だけで涼みたいものだと英吉利のシドニー・スミスとかいう人が苦しがったという話があるが、」p209

・ハーキュリス
「「どうもこの気候の逆戻りをするところはまるでハーキュリスの牛ですよ」」P213

・ヴァルカン
「「寝ている間に、ヴァルカンの子が来ましてね」」p214

・帰天斎正一
「「不思議です事ねえ」と細君は帰天斎正一の手品でも見物しているように感嘆する」p216

・アーキミジス
「左手に受ける茶碗の中へ、箸を少しずつ落として、尻尾の先から段々に浸すと、アーキミジスの理論によって、蕎麦の浸った分量だけツユの嵩が増してくる。」p220

・小泉八雲
「「僕のも大分神秘的で、故小泉八雲先生に話したら非常に受けるのだが、惜しい事に先生は永眠されたから、実のところ話す張合もないんだが、折角だから打ち開けるよ。」」p224

・鏡花
「「鏡花の小説にゃ雪の中から蟹が出てくるじゃないか」」p225

・ミュッセ
「「先達てミュッセの脚本を読んだらそのうちの人物が羅馬の詩人を引用してこんな事をいっていた。」」p230

・Agnodice
「「ことにあの色の黒い女学生が一心不乱に体操をしているところを拝見すると、僕はいつでもAgnodiceの逸話を思い出すのさ」」p234

・榊原健吉
「白い小倉の袴のゴワゴワするのを御苦労にも鹿爪らしく穿いているところは榊原健吉の内弟子としか思えない。」p236

・高浜虚子
「「ところへ花道から俳人高浜虚子がステッキを持って、白い燈心入りの帽子を被って、透綾の羽織に、薩摩飛白の尻端折りの半靴というこしらえで出てくる。」」p238

・上田敏
「「上田敏君の説によると俳味とか滑稽とかいうものは消極的で亡国の音だそうだが、敏君だけあってうまい事をいったよ。」」p238




語句・表現
・一手専売:その人だけが得意とする技術や方法。

・薩摩上布:薩摩 の特産とされた上質の麻布。実際には琉球 (沖縄) で生産されたものであるが,琉球が薩摩の属領であったため,薩摩藩を経由して本土に搬入されたことから,この名がある。

・倒行して逆施(げきし)す:道理に逆らって事をなすこと。

・鳳眠:相手の眠りを指す尊敬語。

・千秋の恨事:いつまでも続く恨み。

・木で鼻を括る:無愛想に応対する。冷淡にあしらう。「括る」は「こくる(こする)」の誤用。

・緞帳役者:緞帳芝居に出る役者。下級な役者。

・透綾(すきや):透けて見えるような、薄くさらりとした絹織物。

・薩摩飛白(さつまがすり):綿織物の一つ。紺地に白がすりを出した平織のもの。

一結杳然(いっけつようぜん):文章を締めくくった後に、匂うように余韻が残るさま。



読みづらい漢字
・齷齪(あくせく)
・凭せる(もた・せる)
・拱く(こまね・く)



今日にも通用する内容
・「人間はよほど猫より閑なもので退屈のあまりかようないたずらを考案して楽んでいるものと察せられる。ただ可笑しいのはこの閑人がよると障ると多忙だ多忙だと触れ廻るのみならず、その顔色が如何にも多忙らしい、わるくすると多忙に食い殺されはしまいかと思われるほどこせついている。彼らのあるものは吾輩を見て時々あんなになったら気楽でよかろうなどというが、気楽でよければなるが好い。そんなにこせこせしてくれと誰も頼んだ訳でもなかろう。自分で勝手な用事を手に負えぬほど製造して苦しい苦しいというのは自分で火をかんかん起こして暑い暑いというようなものだ。」p210

・「「結婚なんかは、いざという間際になって、飛んだ所に傷口が隠れているのを見出す事がある者だから。」」p228

・「「この頃の詩は寝転んで読んだり、停車場で読んでは到底分かりようがないので、作った本人ですら質問を受けると返答に窮する事がよくあります。全くインスピレーションで書くので詩人はその他には何らの責任もないのです。」」p241




面白い表現
・「午睡も支那人の詩に出てくると風流だが、苦沙味君のように日課としてやるのは少々俗気がありますね。何の事あない毎日少しずつ死んで見るようなものですぜ。」p214

・「細君はたった一言「まあ!」といったがそのまあの中には驚ろいたまあと、気を悪くしたまあと、手数が省けてありがたいというまあが合併している。」p215

・「「ええ大概の事は知っていますよ。知らないのは自分の馬鹿な事位なものです。しかしそれも薄々は知っています」」p235(ソクラテスの「無知の知」に通じる)

・「先達ても私の友人で送籍という男が『一夜』という短編を書きましたが、誰が読んでも朦朧として取り留めがつかないので、当人に逢って篤と主意のあるところを糺して見たのですが、当人もそんな事は知らないよといって取り合わないのです。」」p241




参考図書
『漱石全集』第一巻、第二巻 岩波書店 1978年
『吾輩は猫である』 岩波文庫
『漱石大全』Kindle版 第3版 古典教養文庫
『カラー版新国語便覧』 第一学習者 1990年
『漱石とその時代』1~3 江藤淳 著 新潮選書
『決定版 夏目漱石』 江藤淳 著 新潮文庫
『夏目漱石を読む』 吉本隆明 著 ちくま文庫
『特講 漱石の美術世界』 古田亮 著 岩波現代全書


日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社
デジタル大辞泉 小学館
ブリタニカ国際大百科事典 ブリタニカ・ジャパン


本日もご訪問いただきありがとうございました。



備忘録・雑記ランキング
スポンサーサイト



漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑤ 五

漱石
06 /12 2019
漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論⑤ 五


時期
明治38年弥生の土曜日の夜と翌日曜日(四の夜と翌日曜日)


登場人物(登場順)
・吾輩

・主人

・主人の細君

・めん子(三女)

・とん子(長女)

・すん子(次女)

・下女

・泥棒

・巡査

・多々良三平

・鼠




ストーリー
・主人宅に泥棒が侵入する。

・人間の顔に同じものがないことは神の無能力の証拠であるという吾輩の卑見。

・泥棒の顔が寒月に瓜二つであったことが、上記卑見を否定するに足ると考える。

・泥棒が山の芋・小供のちゃんちゃん・帯・羽織などを盗んで行く。

・翌朝、巡査が盗難の調書を取る。

・主人が盗難告訴を書こうとするも、細君と喧嘩をして中断する。

・多々良三平が主人宅を訪れる。

・三平と主人夫婦との会話
・盗難にあったこと
・禿があること
・吾輩が泥棒避けの役に立たなかったこと
・三平が主人に実業家になることを勧めること
・三平が寒月について尋ねる

・吾輩、鼠を捕ることを決心し、作戦を練る。

・鼠を捕ろうと試みるも、鼠にしてやられる。



言及される歴史上の人物・事項
・ラファエル
「ラファエルに寸分違わぬ聖母の像を二枚かけと注文するのは、全然似寄らぬマドンナを双幅見せろと逼ると同じく、ラファエルに取っては迷惑であろう、」p178

・弘法大師
「弘法大師に向かって昨日書いた通りの筆法で空海と願いますという方がまるで書体を換えてと注文されるよりも苦しいかも分らん。」p178

・達磨
「達磨という坊さんは足の腐るまで座禅をして澄ましていたというが、仮令壁の隙から蔦が這い込んで大師の眼口を塞ぐまで動かないにしろ、寝ているんでも死んでいるんでもない。頭の中は常に活動して、廓然無聖などと乙な理窟を考え込んでいる。」p199

・東郷大将
「東郷大将はバルチック艦隊が対馬海峡を通るか、津軽海峡へ出るか、あるいは遠く宗谷海峡を廻るかについて大に心配されたそうだが、今吾輩が吾輩自身の境遇から想像して見て、御困却の段実に御察し申す。」p204




語句・表現
・明笛:明楽に用いる竹製の横笛。管長は約 66cmで、両端を牙などで飾る。指孔は6孔。清笛と同じく別に薄い竹紙を張った響孔があり、これによって微妙な音色を出すことが特色。

・ジュピター:ローマ神話に登場する気象現象を司る最高神ユーピテルの英語名。ギリシア神話のゼウスと同一視される。

・ウェブスター:アメリカの語学者ウェブスターが19世紀初頭に編纂した『アメリカ英語辞典』。

・竜文堂:江戸末期から昭和33年頃まで8代続いた京都の鉄瓶屋。

・憫然:哀れなさま。 かわいそうなさま。

・模傚:まねすること。模倣。

・琴瑟(きんしつ)調和:琴と瑟(大型の琴)。夫婦仲がむつまじいことのたとえ。

・唐桟(とうざん):江戸時代以降にヨーロッパ船や中国船によってもたらされた紺地に浅葱・赤などの縦の細縞を織り出した綿織物およびそれを模倣して作った綿織物。唐桟は唐桟留の略で,インドのサントメからもたらされたのでこの名がある。

・御納戸(色):染色の一つ。鼠色がかった藍色。江戸時代に流行した藍染めの一つで、納戸の垂れ幕、木綿のふろしきなどに用いた。

・三盆:白砂糖の一つ。伝統的製法により特別に精製を繰り返した上等な砂糖。上白糖をいうこともある。

・権柄(けんぺい)ずく:権勢にまかせて物をいったり、ことを行なったりすること。

・オタンチン・パレオロガス:オタンチンはまぬけの意味で、人をののしっていう語。これに東ローマ皇帝コンスタンチン・パレオロガスを組み合わせた造語。

・草盧:草で作った小さな家。草庵。自分の住居をへりくだっていう語。

・眷顧:特別に目をかけること。ひいき。

・郎君:年若く身分の高い男子や主家の息子などを敬っていう語。わかとの。

・十年一狐裘:一般には「一狐裘三十年」で質素倹約であることのたとえ。春秋時代、斉の晏子が貧困家庭を数十軒も扶助する一方で、一枚のキツネの皮衣を三十年も着たという故事から。狐裘は狐の毛皮でつくったりっぱな皮衣。

・旻天(びんてん):空。天空。

・木強漢:一本気な男。

・廓然無聖:仏語。「碧巌録」にある言葉で、大悟の境地には聖人と凡夫、仏と衆生との区別がないこと。禅における公案の一つ。

・乾屎橛(かんしけつ):禅宗で、乾いた棒状の糞。常識的な観念を打破するため、仏とは何かという問いに対する答え。糞を拭うのに用いた乾いたへらとも解される。

・大声は俚耳に入らず:すぐれた音楽は俗人の耳には受け入れられない。高尚な議論は俗人に理解されにくいということ。『荘子』「天地」から。

・陽春白雪の詩には和するもの少なし:すぐれた人の言行は凡人には理解されにくいことのたとえ。「陽春白雪」は中国の楚で最も高尚とされた歌曲。

・千金の子は堂陲に坐せず:金持ちの子は軽率な行動をしないということ。金持ちの子は落ちて怪我することがないよう、建物の端に足を垂れて座るような軽率な行動はしないことから。

・超邁:他より非常にすぐれていること。



読みづらい漢字
・蚯蚓(みみず)
・窶す(やつ・す)
・袂(たもと)
・闖入(ちんにゅう)
・一穂(いっすい)
・辱うする(かたじけの・うする)
・躄(いざり)
・熾に(さかん・に)
・攫み(つか・み)
・竈(へっつい)
・護謨(ごむ)
・啣える(くわ・える)



今日にも通用する内容
・「世の中には悪い事をしておりながら、自分はどこまでも善人だと考えているものがある。」p174



面白い表現
・「形体以外の活動を見る能わざる者に向かって己霊の光輝を見よと強ゆるは、坊主に髪を結えと逼るが如く、鮪の演説をして見ろというが如く、電鉄に脱線を要求するが如く、主人に辞職を勧告する如く、三平に金の事を考えるなというが如きものである。必竟無理な注文に過ぎん。」p200



参考図書
『漱石全集』第一巻、第二巻 岩波書店 1978年
『吾輩は猫である』 岩波文庫
『漱石大全』Kindle版 第3版 古典教養文庫
『カラー版新国語便覧』 第一学習者 1990年
『漱石とその時代』1~3 江藤淳 著 新潮選書
『決定版 夏目漱石』 江藤淳 著 新潮文庫
『夏目漱石を読む』 吉本隆明 著 ちくま文庫
『特講 漱石の美術世界』 古田亮 著 岩波現代全書


日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社
デジタル大辞泉 小学館
ブリタニカ国際大百科事典 ブリタニカ・ジャパン


本日もご訪問いただきありがとうございました。



備忘録・雑記ランキング

漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論④ 四

漱石
05 /28 2019
漱石・読んだふり 『吾輩は猫である』 各論④ 四


時期
明治38年弥生の土曜日


登場人物(登場順)
・吾輩

・金田

・鈴木藤十郎

・金田の夫人

・苦沙弥

・苦沙弥の細君

・迷亭




ストーリー
・吾輩が金田邸へたびたび出入することの理由の論述。

・金田邸の様子(鈴木藤十郎との話)。
 ・苦沙弥、迷亭についての話。
 ・苦沙弥邸を訪れ、娘と寒月との結婚についての仲介を鈴木藤十郎へ依頼。

・苦沙弥、細君に禿げがあることを発見。
・寒月と金田の娘との間の取り持ちを苦沙味に促す。

・鈴木藤十郎、苦沙弥邸を訪れる。

・迷亭、苦沙弥邸を訪れる。
・寒月が博士論文の稿を起こしたことを知らせる。

・苦沙弥、鈴木藤十郎、迷亭のとめどもない会話



言及される歴史上の人物・事項
・熊坂長範
「もし世間が熊坂長範ばかりになったら如何なる盛徳の君子もやはり吾輩のような態度にい出づるであらう。」p135

・シャーレマン
「「君シャーレマンの鼻の恰好を知っているか」」p152

・エルリントン
「「エルリントンは部下のものから鼻々と異名をつけられていた。」」p152

・パスカル
「「パスカルがこんな事をいっている」」

・『トリストラム・シャンデー』
「その後鼻についてまた研究をしたが、この頃『トリストラム・シャンデー』の中に鼻論があるのを発見した。」p164

・スターン
「「金田の鼻などもスターンに見せたら善い材料になったろうに残念な事だ。」」p164

・アリストートル
「「学問あって以来の学者と称せらるるかの希臘の哲人、逍遥派の元祖アリストートルその人である。」」p166

・クリーサス
「「彼らは智識に対して千両箱をオリムポスの山ほど積み、クリーサスの富を傾け尽くしても相当の報酬を与えんとしたのであるが、如何に考えても到底釣り合うはずがないということを観破して、それより依頼というものは奇麗さっぱり何にも遣らない事にしてしまった。」」p166

・ロード・ケルヴィン
「「辱けなくも学問最高の府を第一位に卒業して毫も倦怠の念なく長州征伐時代の羽織の紐をぶら下げて、日夜団栗のスタビリチーを研究し、それでもなお満足する様子もなく、近々の中ロード・ケルヴィンを圧倒するほどな大論文を発表しようとしつつあるではないか。」」p167

・サントブーヴ
「「サントブーヴは古今東西の評論家であるが巴里大学で講義をした時は非常に不評判で、彼は学生の攻撃に応ずるため外出の際必ず匕首を袖の下に持って防禦の具となした事がある。」」p168

・ブルヌチェル
 ゾラ
「「ブルヌチェルがやはり巴里の大学でゾラの小説を攻撃したときは・・・・・」」p169



語句・表現
・胡乱な:確かでなく、怪しいこと。うさんくさいこと。

・如是観:天台宗の中心的教義の一つで、現象こそが真理にほかならないことを示す言葉。

・比丘尼:出家して戒を受けた女性。尼僧。

・方丈:禅寺で、住職の居室。

・僭上の沙汰:大言壮語すること。

・偕老同穴:夫婦が仲むつまじく、契りの固いこと。

・倉皇:あわてふためくさま。あわただしいさま。

・木菴:江戸前期の渡来禅僧。黄檗三筆の一人。黄檗隠元の法嗣。

・股肱:一番頼みとする部下。手足と頼むもの。

・素町人:身分の低い町人。また、町人を卑しめていう語。

・這裏:「這」は「此」の意。このうち。この間(かん)。

・円転滑脱:言葉や行動に角が立たず、そつなく物事を進める様子

・機鋒:ほこ先。きっさき。また、鋭い勢い。

・漆桶(しっつう):「漆を入れた桶おけ」の意。真っ黒で何もわからないこと。転じて、妄想や煩悩のたとえ。また、仏法を知らない僧をののしっていう語。

・服膺:胸につけて離さない意から、心にとどめて忘れないこと。



読みづらい漢字
・攫む(つか・む)
・掠める(かす・める)
・這裏(しゃり)
・貪婪(たんらん)



今日にも通用する内容
・「凡そ世の中に何が賤しい家業だといって探偵と高利貸ほど下等な職はないと思っている。」p123

・「空気の切売が出来ず、空の縄張が不当なら地面の私有も不合理ではないか。」



面白い表現
・「「株といえば大根の兄弟分位に考えているんだから」」p159



参考図書
『漱石全集』第一巻、第二巻 岩波書店 1978年
『吾輩は猫である』 岩波文庫
『漱石大全』Kindle版 第3版 古典教養文庫
『カラー版新国語便覧』 第一学習者 1990年
『漱石とその時代』1~3 江藤淳 著 新潮選書
『決定版 夏目漱石』 江藤淳 著 新潮文庫
『夏目漱石を読む』 吉本隆明 著 ちくま文庫
『特講 漱石の美術世界』 古田亮 著 岩波現代全書

日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社
デジタル大辞泉 小学館
ブリタニカ国際大百科事典 ブリタニカ・ジャパン


本日もご訪問いただきありがとうございました。



備忘録・雑記ランキング

漱石・読んだふり 「吾輩は猫である」 各論③ 三

漱石
03 /03 2019
漱石・読んだふり 「吾輩は猫である」 各論③ 三


時期
明治38年1月〜春のある日曜日とその2〜3日後。


登場人物(登場順)
・吾輩

・主人:苦沙味先生

・細君(苦沙味先生の)

・迷亭

・寒月

・金田夫人

・車屋の神さん

・金田家の飯焚き

・金田家の車夫

・金田氏

・金田家の娘

・金田家の小間使




ストーリー
・ある日曜日、主人「天然居士」の銘を撰する。

・細君、家計赤字主人に報告(鼻毛で撃退される)。

・迷亭来訪(主人と天然居士の話、細君と主人の近況および月並についての話)。

・寒月来訪(演説「首縊りの力学」の予行演習)。

・2〜3日後の午後、迷亭来訪(越智東風の高輪事件についての報告)。

・金田夫人(「鼻子」と呼ばれる)来訪(寒月の情報収集目的)。

・迷亭の伯父(牧山翁)についての話。

・吾輩が金田邸内を偵察。

・吾輩、苦沙味邸に戻る。苦沙味・迷亭・寒月による大平の逸民の会合。

・会合中に金田家の飯焚き・車夫・車屋の神さんが苦沙味邸の垣根で騒いで冷やかす。





言及される歴史上の人物・事項
・草双紙
「昔しの草双紙にある猫又に似ていますよ。」(p89 岩波文庫 以下同様)

・樽金
・タークウィン・ゼ・プラウド
「「何んでも昔し羅馬に樽金とかいう王様があって・・・・・・」」(p91)
「こうっと慥かには覚えていないがタークウィン・ゼ・プラウドの事でしょう。」

・馬琴
・メジョオ・ペンデニス
「それじゃ馬琴の胴へメジョオ・ペンデニスの首をつけて一、二年欧州の空気で包んで置くんですね。」(p94)

・ヘロドタス
「ヘロドタスの説に従って見ますと猶太人はエジプトを去る以前から夜中死骸を曝されることを痛く忌み嫌ったように思われます」(p96)

・『オジセー』
・テレマカス
・ペネロピー
「私の調べました結果によりますると、『オジセー』の二十二巻目に出ております。即ちかのテレマカスがペネロピーの十二人の侍女を絞殺するという条りで御座います。」(p97)

・ユーミアス
・フィリーシャス
「第一は、かのテレマカスがユーミアス及びフィリーシャスの援けを藉りて縄の一端を柱へ括りつけます。」(p97)

・『ベオウルフ』
「それから英国へ移って論じますと、『ベオウルフ』の中に絞首架即ちガルガと申す字が見えますから絞罪の刑はこの時代から行われたものに違いないと思われます。」(p98)

・ブラクストーン
・『ピヤース・プローマン』
「ブラクストーンの説によるともし絞罪に処せられる罪人が、万一縄の具合で死に切れぬ時は再度同様の刑罰を受くべきものだとしてありますが、妙な事には『ピヤース・プローマン』の中には仮令兇漢でも二度絞める法はないという句があるのです。」(p99)

・大鷹源吾
「独逸人が大鷹源吾の蒔絵の印籠を見て、これを買いたいが売ってくれるだろうかと聞くんだそうだ。」(p101)

・鉄拐仙人
「鉄拐仙人が軍鶏の蹴合いを見るような顔をして平気で聞いている。」(p108)

・アイソクラチス
・ソフォクリス
・シモニジス
「貴様なぞは知るまいが昔しアイソクラチスという人は九十四歳で大著述をした。ソフォクリスが傑作を出して天下を驚かしたのは、殆ど百歳の高齢だった。シモニジスは八十で妙詩を作った。」p113)

・大隈伯
「先達て『日本新聞』に詳しく書いてあった大隈伯の勝手にも劣るまいと思う位整然とぴかぴかしている。」(p119)

・ソクラチス
・ゴールドスミス
・サッカレー
「古人のうちにてもソクラチス、ゴールドスミスもしくはサッカレーの鼻などは構造の上からいうと随分申し分は御座いましょうが、その申し分のある所に愛嬌が御座います。」(p128)

・ジュリアス・シーザー
「ジュリアス・シーザーの鼻は大したものに相違御座いません。」(p129)

・ツァイシング
「ツァイシングの黄金律を失しているということなんで、それを厳格に力学上の公式から演繹して御覧に入れようというのであります。」(p130)

・ウィルヒョウ
・ワイスマン
「さて以上の公式にウィルヒョウ、ワイスマン諸家の説を参酌して考えて見ますと、先天的形体の遺伝は無論の事許さねばなりません。」(p130)



語句・表現
・評隲(ひょうしつ):批評してただすこと。

・香一炷(こういっしゅ):線香・香を、ひとたびくゆらすこと。香のひとくゆり。

・筆誅:罪悪・過失などを書きたてて、責めること。

・猫又:日本の民間伝承や古典の怪談、随筆などにあるネコの妖怪。

・年は二八か二九からぬと言わず語らず物思い:「二八」は16歳、「二九」は18歳。「二九」には、「憎からぬ」の掛詞の意もある。妙齢の女性をいう決まり文句。

・泉岳寺:東京都港区高輪にある曹洞宗の寺。開創は慶長1612年。開基は徳川家康。曹洞宗の江戸三大寺のひとつ。赤穂義士の墓がある。

・鳶口:棒の先端に、とびのくちばし形の鉄の鉤を付けた道具。消火などで、材木をひっかけるのに使う。

・掛矢:樫などで作った大形の木槌つち。杭くいなどを打ち込むときや、物を打ち壊したりするのに用いる。かきや。

・招魂社:明治維新前後から国家のために殉難した人の霊を祭る神社。1876年各地の招魂社にまつられている霊と未祀霊を東京招魂社(のちの靖国神社)に合祀することとした。1939年各地の招魂社は護国神社と改称、各府県に1社が設けられた。

・一斑:ヒョウの毛皮にあるたくさんのまだら模様のうちの一つの意から、全体からみてわずかな部分。一部分。

・瘧(おこり):間欠的に発熱し、悪寒や震えを発する病気。 主にマラリアの一種三日熱をさした。

・鉄扇:骨を鉄で作った扇。また、畳んだ扇の形を鉄で作ったもの。近世の武家の護身用。

・今戸焼:東京都台東区今戸産の素焼きの土器。天正年間(1573~1592)に始まるといわれ、素焼きを主とし、日用雑器・瓦や人形などの玩具も作った。

・天地玄黄:天は黒く、地は黄色である意。天と地の正しい色。『易経』から。『千字文』の最初の四文字。

・鶉:江戸時代の歌舞伎の見物席で、左右の花道に平行した東西桟敷の階下の席。形状が鶉籠に似ているのでいう。

・束髪:明治以降、女性の間に流行した西洋風の髪形。揚げ巻き・イギリス巻き・マーガレット・花月巻き・夜会巻き・S巻き・二百三高地・耳隠しなど種々のものが生まれた。

・賓頭盧:釈尊の弟子の一人。十六羅漢の第一。白頭・長眉の相を備える阿羅漢。神通に達したが、みだりに用いて仏陀にしかられ、仏陀滅後の衆生の教化を命じられた。日本ではこの像をなでると病気が治るとされ、なで仏の風習が広がった。おびんずる。

・宛転:言葉・声などがよどみなく、なめらかに発せられるさま。

・講筵:講義の行われる場所。また、その講義。

・眷顧:特別に目をかけること。ひいき。

・追陪:他人につき従うこと。また、伴うこと。



読みづらい漢字
・攫む(つか・む)
・書籍費(しょじゃくひ)
・力味む(りき・む)
・長え(とこしな・え)
・御浚い(おさら・い)
・譫言(うわごと)
・囲繞する(いにょう・する)



面白い表現
・「彼の考えによると行さえ改めれば詩か賛か語か録か何かになるだろうとただ宛てもなく考えているらしい。」(p85 岩波文庫 以下同様)

・「車夫、馬丁、無頼漢、ごろつき書生、日雇婆、産婆、妖婆、按摩、頓馬に至るまでを使用して国家有用の材に煩を及ぼして顧みざる以上はーーー猫にも覚悟がある。」(p117)



参考図書
『漱石全集』第一巻、第二巻 岩波書店 1978年
『吾輩は猫である』 岩波文庫
『漱石大全』Kindle版 第3版 古典教養文庫
『カラー版新国語便覧』 第一学習者 1990年
『漱石とその時代』1~3 江藤淳 著 新潮選書
『決定版 夏目漱石』 江藤淳 著 新潮文庫
『夏目漱石を読む』 吉本隆明 著 ちくま文庫
『特講 漱石の美術世界』 古田亮 著 岩波現代全書

日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社
デジタル大辞泉 小学館
ブリタニカ国際大百科事典 ブリタニカ・ジャパン


本日もご訪問いただきありがとうございました。



備忘録・雑記ランキング

漱石・読んだふり 「吾輩は猫である」 各論② 二

漱石
12 /23 2018
漱石・読んだふり 「吾輩は猫である」 各論② 二


時期
明治38年正月


登場人物(登場順)
・吾輩

・主人:苦沙味先生

・下女

・寒月:主人の旧門下生

・御三(おさん 苦沙味先生の家の下女)

・二人の小供

・細君(苦沙味先生の)

・三毛子(新道の二弦琴の御師匠さんに飼われている)

・新道の二弦琴の御師匠さん

・車屋の黒

・黒のうちの神さん

・越智東風(寒月の友人)

・迷亭

・西洋料理屋のボイ

・新道の二弦琴の御師匠さんの下女

・某博士の夫人

・甘木先生(医者)


ストーリー
・主人に届いた年始状。(吾輩を主題としている)

・寒月が主人を訪れる。(寒月の近況報告)

・寒月訪問の翌日の朝食情景。

・主人の日記。(前日寒月との外出の内容、胃弱にいいと聞いた諸方法を試した内容

・バルザックの文章の贅沢の逸話。(『Z.マルカス』)

・吾輩が雑煮の餅を食って踊りを踊った話。

・三毛子を訪問する。

・車屋の黒と会う。

・越智東風が主人を訪れる。(迷亭と西洋料理店に行った話 トチメンボー、朗読会の話)

・迷亭の年始状の内容。

・4〜5日後、三毛子を訪問するも病気で寝ていることを知る。

・迷亭、遅れて寒月が主人を訪れる。(主人の翻訳、3人の不思議な話(首懸けの松、吾妻橋、摂津大掾)

・三毛子が死んだことを知る。



言及される歴史上の人物・事項
・桃川如燕
・グレー
「まず桃川如燕以後の猫か、グレーの金魚を偸んだ猫位の資格は充分あると思う」(p31岩波文庫 以下同様)

・エピクテタス
「主人はエピクテタスとかいう人の本を披いて見ておった。」(p33)

・安井息軒
「安井息軒も大変この按摩術を愛していた。」(p35)

・坂本龍馬
「坂本龍馬のような豪傑でも時々は治療をうけたというから、早速上根岸まで出掛けて揉まして見た。」(p35)

・カーライル
「「君の説は面白いが、あのカーライルは胃弱だったぜ」とあたかもカーライルが胃弱だから自分の胃弱も名誉であるといったような、見当違いの挨拶をした。」(p36)

・バルザック
「主人の話によると仏蘭西にバルザックという小説家があったそうだ。」(p37)

・天璋院
「何でも天璋院様の御祐筆の妹の御嫁に行った先きの御っかさんの甥の娘なんだって」(p44)

・白楽天の『琵琶行』
「古人の作というと白楽天の『琵琶行』のようなものででもあるんですか。」(p51)

・蕪村の『春風馬堤曲』
「蕪村の『春風馬堤曲』の種類ですか」(p51)

・近松
「先達ては近松の心中物をやりました」(p52)

・レスター伯
・エリザベス女皇
・ケニルウォース
「レスター伯がエリザベス女皇をケニルウォースに招待致し候節も慥か孔雀を使用致し候よう記憶致候。」(p57)

・レンブラント
「有名なるレンブラントが画き候饗宴の図にも孔雀が尾を広げたるまま卓上に横たわりおり候・・・」(p57)

・ギボン
・モンセン
・スミス
  「よってこの間中よりギボン。モンセン。スミス等諸家の著述を渉猟致しおり候えどもいまだに発見の端緒をも見出し得ざるは残念の至に存候。」(p59)

・山陽
  「昔しある人が山陽に、先生近頃名文は御座らぬかといったら、山陽が馬子の書いた借金の催促状を示して近来の名文は先ずこれでしょうといったという話があるから、君の審美眼も存外慥かかも知れん。」(p63)

・大燈国師
  「主人は禅坊主が大燈国師の遺誡を読むような声を出して読み始める。」(p63)

・『金色夜叉』
  「それから僕が今度も近松の世話物をやるつもりかいと聞くと、いえこの次はずっと新しい者を撰んで『金色夜叉』にしましたというから、君にゃ何の役が当ってるかと聞いたら私は御宮ですといったのさ。」(p66)

・バリー・ペーン
  「昼飯を食ってストーブの前でバリー・ペーンの滑稽物を読んでいるところへ静岡の母から手紙が来たから見ると、年寄だけにいつまでも僕を小供のように思ってね。」(p67)

・ゼームス
  「ゼームスなどにいわせると副意識下の幽冥界と僕が存在している現実界が一種の因果法によって互いに感応したんだろう。」(p70)

・摂津大掾
  「細君が御歳暮の代わりに摂津大掾を聞かしてくれろというから、連れて行ってやらん事もないが今日の語り物な何だと聞いたら、細君が新聞を参考して鰻谷だというのさ。」(p74)

・左甚五郎
・スタンラン
  「今に左甚五郎が出て来て、吾輩の肖像を楼門の柱に刻み、日本のスタンランが好んで吾輩の似顔をカンヴァスの上に描くようになったら、彼ら鈍瞎漢は始めて自己の不明を恥ずるであろう。」(p83)



語句・表現
・『三世相』:過去、現在、未来 (三世) の因果吉凶を仏教、陰陽五行の説などと各人の生年月日、人相などから解明できるとした考え。唐の袁天綱の創始にかかるといわれる。日本では江戸時代、この考えを日常生活に必要な十干十二支、上弦下弦の月、日食月食、夢判じなど 208項目について百科全書的に絵入りで解説した『三世相』という本が流行した。

・べんべら者:薄っぺらの、また安っぽい絹の衣服。

・喜多床:1871年開業の、連ねる日本で一番古い理髪店。夏目漱石も得意客の一人だった。現在の東京大学の正門前に開業。現在は渋谷で営業。

・行屎走尿:便所で用を足す意。転じて、ありふれた日常生活のたとえ。

・尽未来際:仏教用語。未来の果てに至るまで。未来永劫。誓いを立てるときなどに、「永久に」の意で副詞的に用いる。

・驀地:急に起こるさま。まっしぐらに進むさま。

・天祐:思いがけない幸運、天の助けのこと。天佑神助ともいう。

・狂瀾を既倒に何とかする:「狂瀾を既倒に廻らす」のこと。韓愈の「進学解」の「障二百川一而東レ之、廻二狂瀾於既倒一」による。崩れかけた大波をもと来た方へ押し返す。形勢がすっかり悪くなったのを、再びもとに返すたとえ。

・欣羨:非常にうらやましがること。

・建仁寺(垣):竹垣の一つ。四つ割竹を垂直に皮を外側にしてすきまなく並べ、竹の押し縁を水平に取り付け、しゅろ縄で結んだもの。建仁寺で初めて用いた形式といわれる。

・吹い子の向こう面:他人を罵る言葉。由来は不明。

・天明調:安永・天明期に、蕉風への復帰を唱えて起こった俳風。与謝蕪村・加藤暁台・三浦樗良・高桑闌更・加舎白雄・高井几董などが主たる俳人。

・万葉調:万葉集の歌の特色をなす調べ。一般には表現,内容と関連づけて論じられることが多い。おおむね素朴、雄大、重厚、明朗、直截などの語をもって説明される。五七調を主とし、短歌では二句切れ・四句切れが多い。万葉調歌人として鎌倉時代の源実朝、江戸時代の賀茂真淵、村田春海、良寛らがあり、明治になってからは正岡子規が万葉調の復活を唱え、伊藤左千夫、島木赤彦、斎藤茂吉ら『アララギ』派の歌人が万葉調の歌をつくり、歌壇の一大勢力となった。

・日本派:正岡子規を中心とする純客観的写生主義を唱道した俳句の一流派。新聞「日本」の俳句欄を発表機関としたため、こう呼ばれる。河東碧梧桐・高浜虚子・内藤鳴雪・夏目漱石らが主な俳人。子規没後は碧梧桐が選者となったため、「ホトトギス」による虚子一派に対して、碧梧桐を中心とする一派を呼ぶ。

・橡面坊(安藤橡面坊 1869〜1914):明治時代の俳人。俳句ははじめ高浜虚子選の『国民新聞』に投句、のち正岡子規選の『日本』紙に投句。日本派風の温厚な写生句を作った 。子規が没してのちは河東碧梧桐選の『日本』に投句する。

・拝趨:出向くことをへりくだっていう語。急ぎおうかがいすること。参上。

・葉蘭:ユリ科の常緑多年草で、巨大な葉を地表に立てる植物。日本の暖地に観賞用および薬用として古くから栽培されている。長い地下茎をはわせ、長楕円形で長柄をもつ大きな葉を多数つける。

・中間:江戸時代、武士に仕えて雑務に従った者。

・雲井:きざみタバコの一銘柄。専売制度以前にあったもので禁裏御用となったところからの名といわれる。

・行徳の俎:馬鹿で人擦れしていること。江戸時代、千葉県行徳町では馬鹿貝がたくさん獲れ、ここの俎は馬鹿貝ですれているということからできた言葉。

・市が栄えた:「一期栄えた」の転じたものといわれる。 御伽おとぎ話・昔話などの最後につける言葉。「一生涯幸せに繁栄した」「めでたし、めでたし」の意。

・永日:いずれ日ながの折にゆっくり会おうの意から、別れのあいさつや手紙の結びに用いる語。

・面晤:面会すること。

・洒掃薪水:家事仕事のこと。「洒掃」は掃除、「薪水」は炊事のこと。水をまいて箒で掃き掃除をして、薪を集め、水を汲んで炊事をするという意味から。

・堵物:金銭。「阿堵物」の略。

・many a slip 'twixt the cup and the lip:There's many a slip twixt the cup and the lip. 「茶わんを口に持っていくまでのわずかな間にもいくらでもしくじりはある。」人間いつ死ぬかわからないの意か。



現代でも当てはまる言説
・「人間というものは時間を潰すために強いて口を運動させて、可笑しくもない事を笑ったり、面白くもない事を嬉しがったりする外に能もない者だと思った。」(p79)

・「要するに主人も寒月も迷亭も太平の逸民で、彼らは糸瓜の如く風に吹かれて超然と澄し切っているようなものの、その実はやはり娑婆気もあり慾気もある。競争の念、勝とう勝とうの心は彼らが日常の談笑中にもちらちらとほのめいて、一歩進めば彼らが平常罵倒している俗骨どもと一つ穴の動物になるのは猫より見て気の毒の至りである。」(p79)



読みづらい漢字
・認め(したた・め)
・紀念(かたみ)
・堆く(うずたか・く)
・爛れ(ただ・れ)
・慥かに(たし・かに)
・天鵞毛(ビロウド)
・顋(あご)
・仮色(こわいろ)
・凋む(しぼ・む)




参考図書
『漱石全集』第一巻、第二巻 岩波書店 1978年
『吾輩は猫である』 岩波文庫
『漱石大全』Kindle版 第3版 古典教養文庫
『カラー版新国語便覧』 第一学習者 1990年
『漱石とその時代』1~3 江藤淳 著 新潮選書
『決定版 夏目漱石』 江藤淳 著 新潮文庫
『夏目漱石を読む』 吉本隆明 著 ちくま文庫
『特講 漱石の美術世界』 古田亮 著 岩波現代全書

日本大百科全書 小学館
世界大百科事典 平凡社
デジタル大辞泉 小学館
ブリタニカ国際大百科事典 ブリタニカ・ジャパン


本日もご訪問いただきありがとうございました。



備忘録・雑記ランキング

Radiology2003

本日もご訪問いただきありがとうございます。
日々の生活の中で感じたこと・調べたことを備忘録として残しています。