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下の句50音順にたどる百人一首 No91 よに

百人一首
05 /26 2020
No.91(No62)
下の句
よに・あふさかのせきはゆるさじ
(よに逢坂の 関はゆるさじ)

上の句
よを・こめてとりのそらねははかるとも
(夜をこめて 鳥の空音は はかるとも)


意味
夜の明けないうちに鶏の鳴きまねをして函谷関を通れたとしても、あなたのうそでは逢坂の関は通しませんよ。


出典
『後拾遺集』巻16雑2・939
「大納言行成物語などし侍りけるに内の御物忌にこもればとて、いそぎ帰りてつとめて、鶏のこゑにもよほされてといひをこせて侍りければ、夜ふかかりける鶏のこゑは函谷関のことにやといひつかはしたりけるを、立ちかへりこれは逢坂の関に侍るとあれば、よみ侍りける」


作者
清少納言
生没年不詳 平安中期の歌人。
清原元輔の娘。
一条天皇の后中宮定子に出仕し、『枕草子』を著す。


備考
・「夜をこめて」は「まだ夜が明けないうちに」の意。

・「とり」は「鶏」のこと。

・「空音」は「鳴きまね」の意。

・原形は「鳥の空音に」となっている。

・「はかる」は「だます、いつわる」の意。

・三句までは『史記』孟嘗君の故事をふまえる。孟嘗君が秦に捕らえられ、脱出しようとして函谷関に来た時、食客の鶏の鳴きまねで門を開けさせ無事逃れることができた。

・「よに」は「決して、絶対に」の意。

・この歌に対して行成は「逢坂は人越えやすき関なれば鳥鳴かぬにもあけて待つとか」と返している。



参考書籍
『百人一首一夕話 上・下』 尾崎雅嘉著 岩波文庫
『ビジュアル版 日本の古典に親しむ② 百人一首』 大岡信著 世界文化社
『別冊太陽 百人一首への招待』 吉海直人監修 平凡社
『解説 百人一首』 橋本武著 ちくま学芸文庫
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年


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下の句50音順にたどる百人一首 No90 よし

百人一首
05 /14 2020
No.90(No31)
下の句
よし・のののさとにふれるしらゆき
(吉野の里に 降れる白雪)

上の句
あわぼらけあ・りあけのつきとみるまでに
(朝ぼらけ 有明の月と 見るまでに)


意味
夜が明けはじめた薄明かりの頃、有明の月の光がさしているのかと思うほどに、吉野の里に降り積もった雪であることだ。


出典
『古今集』巻6冬・332
「大和の国にまかれりける時に雪の降りけるを見てよめる」


作者
坂上是則
生没年不詳 平安前期の歌人。
坂上田村麻呂の末裔。
三十六歌仙の一人
蹴鞠の名手だったと言われている。


備考
・「朝ぼらけ」は「夜がほのぼのと明けるころ」の意。

・「見る」は「見て~だと判断する」意。

・「まで」は程度・状態の副助詞。

・「吉野」は奈良県吉野郡。「吉野の里」を「吉野の山」とする本もある。



参考書籍
『百人一首一夕話 上・下』 尾崎雅嘉著 岩波文庫
『ビジュアル版 日本の古典に親しむ② 百人一首』 大岡信著 世界文化社
『別冊太陽 百人一首への招待』 吉海直人監修 平凡社
『解説 百人一首』 橋本武著 ちくま学芸文庫
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年


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下の句50音順にたどる百人一首 No89 ゆめ

百人一首
05 /02 2020
No.89(No18)
下の句
ゆめ・のかよひぢひとめよくらむ
(夢の通ひ路 人目よくらむ)

上の句
す・みのえのきしによるなみよるさへや
(住の江の 岸に寄る波 夜さへや)


意味
住ノ江の岸に寄る波ではありませんが、夜の夢の中の逢瀬の通い路でさえ、どうしてあなたは人目を避けようとするのでしょうか。


出典
『古今集』巻12恋2・559
「寛平御時后宮の歌合せの歌」


作者
藤原敏行朝臣
生年不詳~901年 平安前期の書家・歌人。
三十六歌仙の一人



備考
・「住の江」は歌枕。今の大阪住吉海岸。

・「よる」は「寄る」と「夜」の掛詞。

・第二句までが第三句の「よる」を導く序詞。

・「や」は疑問の係助詞。

・「夢の通い路」は「夢の中で恋人のもとへ通う道」。夢の中では思う人のところへまっすぐ行けるという意味合いが込められている。

・「らむ」は原因推量の助動詞の連体形。

・小野道風が能書家として空海と藤原敏行を挙げたとされる。

・在俗不浄の身でありながら、人に求められるままに経文を書いて与えたことで罪に問われたという話が、『今昔物語』、『宇治拾遺物語』にある。



参考書籍
『百人一首一夕話 上・下』 尾崎雅嘉著 岩波文庫
『ビジュアル版 日本の古典に親しむ② 百人一首』 大岡信著 世界文化社
『別冊太陽 百人一首への招待』 吉海直人監修 平凡社
『解説 百人一首』 橋本武著 ちくま学芸文庫
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年


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下の句50音順にたどる百人一首 No88 ゆく

百人一首
04 /19 2020
No.88(No46)
下の句
ゆく・へもしらぬこひのみちかな
(行方も知らぬ 恋の道かな)

上の句
ゆら・のとをわたるふなびとかぢをたえ
(由良の門を 渡る舟人 かぢを絶え)


意味
由良の瀬戸を漕ぎ渡っていく船頭が、梶緒が切れてどこへ行きつくかわからず漂っていくように、私の恋の道もどうなっていくのかわからないのです。


出典
『新古今集』巻11恋1・1071
「題知らず」


作者
曾禰好忠
生没年不詳 平安中期の歌人。
丹後掾であったので曾丹後、曾丹などと呼ばれた。
奇行が多かったらしい。


備考
・「由良」という地名は紀伊・淡路・丹後などにあるが、通例は歌枕「由良の岬」として知られた紀伊を指すと考えられている。

・「門」は狭くなった海路の意で、瀬戸・海峡のこと。

・最初の「を」は経過の場所を示す格助詞。

・「舟人」は船頭のこと。

・「かぢを」の「を」は、格助詞・間投助詞・名詞「梶緒」の「緒」など、諸説あり。

・「絶え」は「を」の解釈により自動詞・他動詞どちらの解釈もあり。



参考書籍
『百人一首一夕話 上・下』 尾崎雅嘉著 岩波文庫
『ビジュアル版 日本の古典に親しむ② 百人一首』 大岡信著 世界文化社
『別冊太陽 百人一首への招待』 吉海直人監修 平凡社
『解説 百人一首』 橋本武著 ちくま学芸文庫
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年


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下の句50音順にたどる百人一首 No87 やま

百人一首
04 /08 2020
No.87(No83)
下の句
やま・のおくにもしかぞなくなる
(山の奥にも 鹿ぞ鳴くなる)

上の句
よのなかよ・みちこそなけれおもひいる
(世の中よ 道こそなけれ 思ひ入る)


意味
世の中というものは、どうするすべもないものなのだ。思いあまって山の奥の道に分け入っても、ここでも鹿が悲し気に鳴いている。


出典
『千載集』巻17雑中・1151
「述懐百首の歌よみ侍りける時、鹿の歌とて詠める」


作者
皇太后宮大夫俊成(藤原俊成)
1114~1204 平安後期・鎌倉初期の官僚・歌人。
藤原定家の父。『千載集』の撰者。
御子左家歌道の祖。


備考
・「よ」は詠嘆の間投助詞。

・「道」は「山」と縁語関係。「山の奥へ分け入る道」と「世の中で身を処していく方法」の意。

・二句切れ。

・「も」は並列を表す係助詞。

・猿丸大夫の「奥山に紅葉踏みわけ鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき」、凡河内躬恒の「世を捨てて山に入る人山にてもなほうき時はいづち行くらむ」を本歌としている。



参考書籍
『百人一首一夕話 上・下』 尾崎雅嘉著 岩波文庫
『ビジュアル版 日本の古典に親しむ② 百人一首』 大岡信著 世界文化社
『別冊太陽 百人一首への招待』 吉海直人監修 平凡社
『解説 百人一首』 橋本武著 ちくま学芸文庫
『改訂増補 古文解釈のため国文法入門』 松尾聰 著 2019年


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