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巡回健診診察マニュアル 53 たまに出会う現病歴・既往歴 HCM

医療
08 /24 2019
肥大型心筋症(HCM hypertrophic cardiomyopathy)


1.概念
・原発性の心室肥大をきたす心筋疾患

・「心室中隔の非対称性肥大を伴う左室ないし右室、あるいは両者の肥大」と定義される。

・「左室流出路閉塞をきたす閉塞性(HOCM hypertrophic obstructive cardiomyopathy)ときたさない非閉塞性」に分類さる。

・患者数約4,700人。



2.原因
・遺伝子異常と原因不明に分かれる。

・原因遺伝子:心筋収縮関連蛋白(β‐ミオシン重鎖、トロポニンTまたはI、ミオシン結合蛋白Cなど約10種類の蛋白)の遺伝子



3.症状
・大部分は無症状。健診で心雑音や心電図異常をきっかけに診断にいたるケースが少なくない。

・不整脈に伴う動悸やめまい。

・運動時の呼吸困難・胸の圧迫感。



4.治療
・競技スポーツなどの過激な運動は禁止.

・有症候例では、β遮断薬やベラパミル。

・症状がない例でも、左室内圧較差、著明な左室肥大、運動時血圧低下、濃厚な突然死の家族歴などの危険因子があれば厳密な管理が必要。

・難治性の閉塞性例では、経皮的中隔心筋焼灼術や心室筋切除術を考慮。

・拡張相肥大型心筋症(D-HCM)による難治性心不全例では心移植の適応。



5.予後
・無症状で通常の寿命を全うすることが多い。

・年間の心臓死1~2%。

・死因として若年者は突然死、壮年~高齢者では心不全死や塞栓症死が多い。



参考サイト
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/320

参考書籍
『指定難病ぺディア2019』日本医師会雑誌 第148巻・特別号(1)



本日もご訪問いただきありがとうございました。



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巡回健診診察マニュアル 52 時々出会う現病歴・既往歴 もやもや病

医療
08 /16 2019
もやもや病(ウィリス動脈輪閉塞症)


1.概念
・基礎疾患を伴わず内頸動脈終末部に慢性進行性の狭窄を生じ、側副血行路として脳底部を中心に異常血管網(もやもや血管)が形成される進行性脳血管閉塞症。

・有病率 3〜6人/10万人

・家族性の発症を10~20%に認める。

・男女比は1:2.5

・患者数約18,000人。

・発症年齢は二峰性分布を示し5~10歳を中心とする高い山と30~40歳を中心とする低い山を認める。



2.原因
・詳細は不明。



3.症状
・無症状(偶然発見)のものから一過性ないしは固定性の神経症状を呈するものまで軽重・多岐にわたる。

・小児例では脳虚血症状が大半を占め、成人例には頭蓋内出血を来す例が30~40%に観察される。

・脳虚血症状:意識障害、脱力発作(四肢麻痺、片麻痺、単麻痺)、感覚異常、不随意運動、けいれん、頭痛など。
虚血発作は過呼吸(啼泣など)で誘発され、反復発作的に出現し、時には病側の左右が交代することもある。




4.治療
・外科的血行再建術が推奨される。



5.予後
・小児例では、乳児期発症例の機能予後は悪く精神機能障害、知能低下を来す。

・一過性脳虚血発作で発症した例において適切な外科的治療がなされた症例の社会的予後は良好。




参考サイト
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/209

参考書籍
『指定難病ぺディア2019』日本医師会雑誌 第148巻・特別号(1)



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巡回健診診察マニュアル 51 時々出会う現病歴・既往歴 バージャー病

医療
08 /08 2019
バージャー病


1.概念
・四肢の主幹動脈に閉塞性の血管全層炎を来す疾患。

・主に下腿・前腕以遠の動脈に、多発的かつ分節的に炎症性の血栓閉塞を来す。

・表在静脈にも炎症(遊走性静脈炎)を来すこともある。

・閉塞性血栓血管炎( TAO thromboangitis obliterans )と呼ばれることもある。以前は「ビュルガー病」と呼ばれていた。

・上肢よりも下肢にやや多い。

・20〜40代の喫煙者に好発。

・大半は男性。

・患者数約7100。



2.原因
・詳細は不明。

・遺伝性素因に感染症や衛生環境など、何らかの刺激が加わると発症するとの説が有力。

・喫煙による血管攣縮が誘因になると考えられ、受動喫煙を含めるとほぼ全例が喫煙と関係があると考えられる。



3.症状
・初発症状:足趾・手指の冷感、感覚異常、疼痛、チアノーゼ、レイノー現象。

・高度となるに従い間欠性跛行や安静時疼痛が出現し、四肢に潰瘍や壊死を形成して特発性脱疽と呼ばれる状態となる。

・爪の発育不全や皮膚の硬化、胼胝を伴い、わずかな刺激で難治性の潰瘍を形成する。



4.治療
・治療の目標は、救肢と疼痛からの解放。

・受動喫煙を含め、禁煙を厳守させることが最重要。

・患肢の保温、保護に努めて靴ずれなどの外傷を避ける。

・薬物療法としては抗血小板薬や抗凝固薬、プロスタグランジンE1製剤の静注などが行われる。

・重症例に対しては末梢血管床が良好であれば、バイパス術などの血行再建を行う。



5.予後
・心、脳、大血管病変を合併することはないため、生命予後は良好。

・四肢の切断を必要とすることもあり、就労年代の成年男性のQOLを著しく脅かすことも少なくない。




参考サイト
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/315

参考書籍
『指定難病ぺディア2019』日本医師会雑誌 第148巻・特別号(1)



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巡回健診診察マニュアル 50 時々出会う現病歴・既往歴 ITP

医療
07 /31 2019
特発性血小板減少性紫斑病(ITP Idiopathic thrombocytopenic purpura )


1.概念
・血小板膜蛋白に対する自己抗体が発現し、血小板に結合する結果、主として脾臓における網内系細胞での血小板の破壊が亢進し、血小板減少を来す自己免疫性疾患。

・血小板産生も抑制されていることが明らかにされている。血小板自己抗体が骨髄巨核球にも結合し、血小板の産生障害を引き起こしていると考えられる。

・一次性免疫性血小板減少症(primary immune thrombocytopenia)と呼ばれることもある。

・診断は除外診断が主体であり、血小板減少をもたらす基礎疾患や、薬剤の関与を除外する必要がある。

・血小板減少とは、血小板数10万/µL未満をさす。

・患者数 約26,000人 罹患率 2.6人/10万人年

・女性は31〜35歳と81〜85歳をピークとする二峰性。男性は81〜85歳をピークとする一峰性。



2.原因
・詳細は不明。

・成人慢性ITPではピロリ菌感染が発症原因となっていることがある。

・小児ITPではウイルス感染や予防接種を先行事象として有する場合がある。



3.症状
・出血。主として皮下出血(点状出血又は紫斑)。軽微な外力によって生じる。

・歯肉出血、鼻出血、下血、血尿、頭蓋内出血なども起こり得る。

・出血症状は自覚していないが血小板減少を指摘され、受診することもある。



4.治療
・治療の目標は、危険な出血を防ぐことにある。

・第一選択薬は副腎皮質ステロイド。

・薬の副作用の観点から、血小板数を3万/µL以上に維持するのに必要な最小限の薬剤量の使用に留めるべきであることを成人ITP治療の参照ガイドでは推奨している。

・発症後6か月以上経過し、ステロイドの維持量にて血小板を維持できない症例、ステロイドの副作用が顕著な症例は積極的に脾摘を行う。



5.予後
・成人慢性ITPでは、約20%は副腎皮質ステロイドで治癒が期待されるが、多くは副腎皮質ステロイド依存性であり、ステロイドを減量すると血小板数が減少してしまうため長期のステロイド治療が必要となる。

・血小板数が3万/µL以上を維持できれば、致命的な出血を来して死亡する例はまれ。

・脾摘により、約60%がステロイドなしでも血小板数10万/µL以上を維持できるようになる。




参考サイト
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/303

参考書籍
『指定難病ぺディア2019』日本医師会雑誌 第148巻・特別号(1)



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巡回健診診察マニュアル 49 時々出会う現病歴・既往歴 IgA腎症

医療
07 /23 2019
IgA腎症


1.概念
・慢性糸球体腎炎のうち、メサンギウム領域へのIgAを主体とする沈着物を認める、メサンギウム増殖性腎炎。

・IgA腎炎、バージャー(Buerger)病とも言う。

・日本における発症率3.9〜4.5人/10万人/年 有病患者数約33,000人

・東アジア人に多くい。


2.原因
・詳細は不明。

・流血中の糖鎖修飾異常IgAならびにそれに関連した免疫複合体の糸球体内沈着によって引き起こされるとする説が最も有カ。

・口蓋扁桃を中心とした上気道粘膜における感染を介した自然免疫系の異常活性化の関与が議論されている。


3.症状
・自覚症状に乏しく、健診や他疾患で受診した際偶然認められた顕微鏡的血尿で発見されることが多い。

・肉眼的血尿を経験する患者は全体の3割程度。




4.治療
・根本的治療なし。

・レニンアンギオテンシン系阻害薬、副腎皮質ステロイド薬(パルス療法を含む)、免疫抑制薬、口蓋扁桃摘出術(+ステロイドパルス併用療法)などの対症療法。

・症例に即して血圧管理、減塩、脂質管理、血糖管理、体重管理、禁煙などを行う。



5.予後
・成人発症のIgA腎症では10年間で透析や移植が必要な末期腎不全に至る確率は15~20%、20年間で約40%弱。

・小児では、成人よりも腎予後は良好。

・腎生検光顕標本における組織障害度、腎生検時の高血圧、腎機能低下、高度蛋白尿、患者の高年齢などが予後判定上有用。




参考サイト
難病情報センター
http://www.nanbyou.or.jp/entry/203

参考書籍
『指定難病ぺディア2019』日本医師会雑誌 第148巻・特別号(1)



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Radiology2003

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